結婚は海外移住みたいだと思っている話

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「結婚相談所は費用さえ払えば(学歴、経歴がイマイチでも)も入れます」という趣旨のご意見をいただいた。

誤解されやすい結婚相談所でのあれこれ - 20代で婚活に踏み切ったブログ

 

これは先の記事のコメント欄にあらわれた自称IBJの加盟店中の人もいっていた。しかし某結婚相談所ブログも入会を断る場合があることは繰り返し書いているし、ブコメと婚活界隈の話題をみる限り「お引き取りください」に近い対応をされた人は確かにいる。コメント欄にあらわれた人は昨年度の源泉徴収票を提出してもらうと書いていたから少なくとも収入面で足切りされる人は間違いなくいるだろう。正当か不当かは別として。

 

また「うちは!ご成婚率が高いって!表彰されました!」というTさんの誇らしげなアピールをみるにご成婚率は上がるに越したことはないだろう。ほとんどの結婚相談所は成婚してナンボだしね。「成婚させないで会費をなるだけ長く」はないと思うよ。

 

断られるのは経歴の問題ではなく入会時に相手に望む条件が多い場合だという元結婚相談所関係者の声もあったが、この「釣り合う、釣り合わない」は婚活界隈の基準よな。それを当然と思ってしまうところがわたしが婚活は地獄だと思う理由なんですよ。

 

「結婚相談所にいくのは世間的なステイタスを求める層だから当然だ」という意見もありました。そういうとこだ。そういうところが地獄だといっておるのだ。

 

「結婚相談所はステイタスを求める人がいくところ」という言葉には二重の地獄みがある。ひとつは「結婚はステイタスだ」という前提。もうひとつは「高い金払っても結婚したい人はステイタスを求めている」という前提。これは部分的に正しい場合もあるけれど、本質的には間違いだ。

 

わたしは常々結婚することは海外移住をすることと似ていると思っている。交際は海外旅行ですね。海外旅行いくと世界観変わるじゃん。自分の常識の外に世界が広がってることを思い知らされるじゃん。さらに住むとなったら相当な覚悟がいる。

 

では海外旅行、海外移住する人がみなステイタスを求めているかといえばそうではない。ギリシャに熱狂している藤村シシンさんみたいにその国の歴史や文化にハマっている人もいるし、自国政府から亡命するため危険を冒して海を渡る人もいる。「ハワイくらいいっておかないと恥ずかしい」みたいな人ばかりではない。

 

海外旅行にいきたいひとは海外旅行にいきたいだけなんですよ。でも行き方がわからなくて旅行代理店に頼む人がいるんですよ。結婚相談所にいくひとは結婚したいだけなんじゃないのか。なんで結婚相談所利用者はステイタス屋さんだからステイタスが満たせないと参加しても無駄説が常識になっとるんじゃ。

 

さまざまな理由で結婚を望みながら独身者にあえない状況にいる人たちは大勢いる。いったいどこで彼らが巡り合えるか見当もつかない。「いい人に巡り合いたい、どこで出会えますか」と聞かれても自分の経験からは「ブログはじめてみたら?」くらいしか浮かばない。*2なので「確実に独身者に出会える結婚相談所、いいな!」と思ったんだけれども*3、婚活界隈は適性がないと書類審査落ちとお祈りメールで心を削られる就活生のようなダメージをくらう可能性が高い場だった。

 

繰り返すけれど、結婚相談所はあくまで商売だから店がどういう営業方針で経営するかは店の自由だ。就職サイトと同じようにステイタスで振り分けるのが効率よかったんだろう。実際に会うまで人柄を観察する機会がないからプロフィールで選別しまくるしかない。結果的に婚活界隈は就活サイトと違って年齢、学歴のみならず人種、民族、身体など親兄弟に至るたまであらゆる差別がし放題である。伴侶を選ぶ基準をどう持つかは自由だ。しかしこの差別的な偏見を内面化していくというのは地獄みがある。

 

ひとりだけ、男性向けの婚活本を出した富山の結婚相談所の人が「顔写真を載せるのをやめろ、知人の紹介で出会う場合、事前に写真をくれというか」と書いていたがいたが*4、婚活界隈では顔面偏差値は重視して当然ということになっている。同じルッキズムでも声がいい人、いい匂いがする人が健闘する機会がない。写真写りの悪い人もそうだ。そこで結婚相談所は血道をあげてルッキズムに走る。そしてそこから取りこぼれる人が選ばれないのは当然だと自分を卑下するようになる。また画像を加工し、受けのいいプロフィールをねつ造してマッチングアプリで暗躍する既婚者も登場する。まさに地獄である。

 

誰を愛するかは完全に個々の選択であり、どんな理由で誰を愛さないとしてもそのことを人から責められるいわれはない。誰も自分を愛すように人に強いる権利はない。ただ「年収〇円〇歳、体重〇キロ身長〇センチ、学歴〇の価値はいくら」と値積もりするのが当然という世界に慣れてしまうのは地獄ではないですか。「そうはいってもそれが現実だ」というのは差別の再生産ではないですか。そりゃわたしもありますよ。「身の程知らずもいい加減にしろ」と言いたくなるような話を聞くことは。でも少なくともわたしは気のいいあんちゃん、嬢ちゃんにこうした価値観を内面化してほしくないし、自分でもそういう風に人を値積もりするようになりたくないんですよ。

 

あと「高望み」っていう言い方ね。

 

海外旅行では旅慣れていない人ほど安全安心を求める。インフラが整った国、言葉が通じる国、物価が安く、国民は親切で、もちろん情勢が安定した国。単身でバックパッカーになるより多少値が張ってもガイドがいて保険がついているツアーの方が安心だと考える。価格が釣り合わず、安心できなければいかない。

 

「海外旅行の経験も少ないが個人的な事情で移住したい」と思ったとする。上記のような条件を出したところ「あなたの手持ちじゃそんなツアーは買えない。高望みはやめて身の丈に合う商品を」といさめられた。さて、移住経験がない人が移住先について気を揉む、はたしてこれは高望みなのか。

 

 「結婚決まらない人って結婚する気がないんだと思う」といったら「高望みするから相手が決まらないってことですよね、それは違います。友人は本当に結婚を望んで婚活してますけど、いい人がいなくてなかなか決まらない」ときつくいわれたことがあった。しょっちゅう言われているんだろうなと思った。わたしが言いたかったのは「海外にいきたい」と言いながら旅のプランを立てるばかりで実行しない人と同じように、結婚が決まらない人は経験不足から尻込みしやすく、安全安心の保証を相手の経歴に求めがちだということだ。では経歴が満たされたら安心するのかといえば移住と同じで、実際に住んでみるまで安全かどうかはわからない。怖い目にあうくらいならこのまま独身の国にいた方がいいと思うのは無理もない。

 

わたしは結婚に至る条件は三つしかないと思う。憧れの国を恋い慕う熱愛型、独身生活が危機に陥っている亡命型*5、そして最後に移住のメリットを考慮した計画型。計画型は前者二つに比べて思い詰めていないからたまたまタイミングが合えばすんなり行くけど「待った」と立ち止まりやすく、思い切れない。無意識に結婚のリスクを独身のリスクより高く考えて現状維持に甘んじやすい。こういう人の結婚したいを真に受けてあれこれ世話を焼いてもなかなかまとまらないものだなということが徐々にわかってきた。話が現実味を帯びてくるとかえって怖がらせてしまう。

 

結婚に向いている人ばかりではない。無理して結婚することはない。それはもちろんそうだ。でも同時に一人暮らしが向いている人ばかりではないし、結婚したい人同士が上手いこと出会って仲良くやっていけたらそれはとてもいいことだ。 こう見えてわたしは世話焼きおばさんポジションにいるので上はアラカンから下は十代までこの手の問題についてしばしば相談に乗る*6。もちおを見ていて結婚したくなったという人も一人や二人ではない。家族はいいよ。親兄弟と上手くいかないところで自分の家族を持てて本当にしあわせだった。

 

けどそれはさー、もちおが高給取りだとか背が高くて連れ歩いて自慢になったとかそういうんじゃないんだよー。結婚したときわたし寝込んでたしさー。その後も何年も寝込み続けて医療費とか健康療法ですごくお金かかったけど「家族だから!俺の自慢のカミさんだから!」って大事にしてもらったし、もちおが闘病して衰弱してできることがどんどん減っていったあいだもちおの価値は1円も下がらなかったんだよー。

 

わたしはさー、持病があっても低収入でも、定職がなくて非定形発達でも、コミュ障でもあとなんかいろいろ世間的にはアカンステイタスがあっても、それで家族を持つことに絶望しないでほしいんだよ。そういうハネモモの傷みたいなものがない人なんて本当はどこにもいないんだからさー。

 

まあこれという答えは出ないんだけど、とにかくモテ地獄、修羅婚活の物差しで人の価値を計ってみてもあまりいいことにはならないなという結論は出た。引き続き模索していこうと思います。

 

*1:ハイク婚おめでとう画像

*2:わたしはさるさる日記でもちおに出会ったし、身近で円満な結婚生活を送る友人知人はmixiコミュ、Twitterはてなハイクの趣味コミュニティで出会っており、婚活経験者はpairsとYahoo!パートナー利用者。インターネット万歳

*3:マッチングアプリと緩い街コンで遊びまわる既婚者たちを何人か知っていたのでこっち方面はおすすめする気になれなかった。

*4:男性向けの本は全体的に少ないが、この本は現実的で面白かった。Amazonレビューに「こんなことで結婚できたら苦労しない」とキレてる人がいるのも面白かった。

*5:わたしはこれだった。

*6:男女比が同じくらいだったら紹介できるのにな。