兼松信之支持者の問題 女性専用車両は痴漢を減らすためにあるのではない

身障者優先席は身障者を減らすためにあるわけではない。身障者が公共交通機関を利用しやすくするためにある。

 

券売機の点字点字ブロック視覚障害を減らすためではなく、視覚に障害を持つ人が公共交通機関を利用しやすくするためにある。

 

車椅子利用スペースは車椅子利用者を減らすためにあるのではなく、車椅子利用者が公共交通機関を利用しやすくするためにある。

 

女性専用車両は女性が公共交通機関を利用しやすくするためにある。痴漢を減らすため、車内の性暴力を減らすためにあるのではない。車内の性暴力を含めた数々のハラスメントによって通勤、通学、通院、その他社会生活を送ることが困難な女性たちが公共交通機関を利用しやすくなるように、電車やバスに乗って学校へいき、勤め先で働き、病院で適切な治療を受け、離れた町で暮らす親族や友人知人に会い、買い物をしたり映画を観たり、当たり前の暮らしを送るためにある。

 

女性の性暴力被害は通勤、通学時間帯の公共交通機関の中が圧倒的に多いと、去年の夏に都内で開かれた渡邉葉さん主催のタウンミーティングで学んだ。女性専用車両が通勤、通学の時間帯に増やされているのはこうした犯罪が女性たちの公共交通機関を利用する権利を妨げないよう、いくらかでも軽減できるようにと用意されたものだ。

 

昨日までランドセルを背負っていた子供たちが制服で通学するようになったとたんに下劣で卑劣な大人から的をかけられる。制服の上から撫でるだけではない。服の中に腕を入れる、脱がす、下着に手を入れ、性器に指を挿入し、嫌がって身をよじる子供を四方から囲い込む。声を上げた子供を恫喝する、移った車両へ追いかけてくる、ホームで待ち伏せする、これが少女たちの通学風景である。

 

痴漢に遭ったことがある女性は9割というのは大袈裟な数字ではない。「自分は遭ったことがない」という人に「あなたは10人に1人のラッキーガール」と返していた人がいたが、本当にその通りだ。中学、高校と制服を着て暮らす6年間、一度も痴漢に遭わない日本人女性はラッキーガールなのだ。

 

男性の性暴力被害者ですら一度の被害で同じ場所、同じ状況に身を置くことを恐れる。成人後も体格的にも社会的な立場の点でも不利な女性として、子供だったころにこうした被害に遭った場合、その後にどれだけハンディを負うことになるか、考えてみてほしい。そうした不安に苛まれながら公共交通機関を利用する人があなたの隣にもきっといる。彼女たちは平然とした顔で駅のホームやバス停に立っている。誰彼構わず何が起きたかを逐一話したりはできない。彼女たちは勇気を出して話した仲間がどれほど口汚く罵られてきたかを知っている。

 

言うまでもなく、女性専用車両は性暴力被害者のためのものではない。運賃を支払っていれば誰でも利用できる。身障者席や車椅子利用者席を誰でも利用できるのと同じだ。強行乗車を繰り返す兼松信之とその支持者たちのためにこの制度が改変されることがあってはならない。男性間違えて乗ってしまうこともあるし、女性の連き添いが必要な男性や親子連れもいる。公共交通機関が不安な女性も女性専用車両なら男性に付き添って移動できる場合もある。しかしこれを根拠に男性からの嫌がらせを容認するのは間違いだ。

 

故意に女性専用車両に強行乗車し、車内で盗撮行為を繰り返し、悪意ある編集をして動画を無断で公開し、再生回数を稼ぐような悪質な集団を容認しないでほしい。声をかけてきた女性を恫喝し、降車しろと言い募り、駅員の指示に従わず業務を妨げる集団にしかるべき姿勢で対峙してほしいと心から思う。*1

 

女性専用車両は痴漢を減らすためにあるのではない。痴漢を撲滅するにはすべての人が安心して公共交通機関を利用することを社会全体が心から望むこと、それを故意に妨げる行為を黙認しないという意識が必要だ。

 

視覚、聴覚に障害を持つ人、車椅子利用者、高齢者や身障者、在日外国人にとって公共交通機関の利用はまだまだ敷居が高い。一部の男性にとっては信じがたい話かもしれないが、女性にとってもそれは同じなのだ。女性専用車両を非難するのは優先席を撤去しろ、点字ブロックを撤去して外国語表記をなくせというのと同じだ。

 

女性専用車両を頼りになんとか通勤、通学、通院、その他の日常生活を安心して送る人々にも、その必要がない人々と同様の人権があることを、どうか理解してほしい。

 

兼松信之は山口敬之による暴行、それに関係する様々な不審を訴えている伊藤詩織さんやAV強要被害者、また在日朝鮮人についても侮辱的なツイートを繰り返している。彼の支持者には排外主義的なアカウントが多い。わたしは彼らが国粋主義を謳いながら同じ国籍、同じ民族の女性の苦境すら自分たちへの攻撃だと解釈することに異常さを感じる。女だけの街をゆるさず、男のいる街で電車やバスでの安全すら贅沢だというなら、いったいどうやって社会を作っていくつもりだろう。

 

*1:女性専用車両を攻撃する動画はyoutubeに山ほどある。泣き叫ぶ女性の手首を掴み、延々と絡み続けるもの、声の限りに恫喝するもの、女性の駅員の指示に長々反論し続けるものなど悪質なものが多い。何度かアカウント削除を食らったものもあるが、すぐに復活している。youtube規約が変わり、広告制限がかかって何よりである。