締め切りのフーガ

結婚してからもちおが何でもかんでも心配するので、家にいるときは以前より自分に自信がない。もちおがいてくれないと不安に思う。しかし一人で旅先にいるときは居酒屋でビール飲んで繁華街のホテルに泊まったりしてもなんともない。一人暮らしのときはこうだったな、と思い出してちょっと新鮮だった。

f:id:kutabirehateko:20170424013953j:plain

はじめて仕事に行き詰ったのはゲーム会社でデザインから企画に回されたときだった。

 

当時の家庭用ゲームのデザインは色数や容量の制限はきつかったけれど、仕事時間中ひたすら絵を描いて、普段は終わろうが終わるまいが定時になったら帰ることになっていた。泊まり込んで仕事をするのはプログラマーでデザインはそこまでタイトなスケジュールに追われることはなかった。

 

ところが企画は全体のスケジュール管理をしないといけないんですね。自分のスケジュールはもちろん、デザインとプログラマの進捗を把握して指示を出さないといけない。小さな会社だったので同時にデザインもしなくてはならなかった。

 

これがわたしにはめちゃくちゃきつかった。デザインは持ち帰れないけれど企画とスケジュール管理は身一つで出来るぶん頭に残るので、仕事が終わってもそのことを考え続けてしまう。これですっかり神経やられて最終的には仕事を辞めた。

 

それからずっと仕事を選ぶときはオンオフの区別が明確な仕事を選ぶようにしていた。逆にいえばいつでもどこでも出来る仕事は避けてきた。自分で仕事をはじめるまでは。

 

東京へいっていた間は朝から晩まで予定がぎっしりだった。それも目の前の仕事の予定だけで、ホテルへ帰ると今後の仕事の準備やら連絡やら資料作りやらが山ほどある。当日の仕事があってもなくてもやることは常に山積みで、レシートも名刺もメールも貯まる。泣ける。いや、泣けない。「あれ、今日はこの時間仕事が入ってたんじゃ」とぎょっとして目覚めることも増えた。

 

特に難しいのが隔週違う曜日の違う時間で数か月単位の仕事を複数掛け持つこと。全く違う仕事だけれど、短期連載を複数持っている漫画家にちょっと似ている。1,3(金)の10時を3月から、14時は1月から、19時は4月からと、2,4(月)の16時を3月後半から、18時を4月前半からみたいな変則スケジュールがあって、頭が混乱する。それぞれ違う資料が必要で、それを書いてプリントする時間がいるし、これらに加えて日々入ってくる単発の仕事もある。

 

元来こうした時間やお金や予定の管理が苦手なのになぜ自分で仕事をはじめてしまったのだろう、ぜんぶ閉めてクリーニングの受付なんかで雇ってもらっちゃどうだとときどき思う。「やれるもんならやってみろ」ともちおはいう。まーそうよね。出来たらそっちやってるよね。

 

大した額を稼いでいるわけではないのに、最近では手持ちの仕事を回せないのでもう仕事が来なければいいなと思うようになってしまった。こうした悩みを話すと「事務は事務代行を頼めばいい」「資料はデザイン会社に出せばいい」「印刷は印刷会社に出せばいい」といわれる。大企業か。だったら秘書かマネージャーも雇うわ。

 

どんな才能をいかしてどんな仕事をするにしても、少なくとも一人でやってる間は管理能力の高い人が生き残るんじゃないかな。管理能力って訓練で伸びるものなんですかね。そうだったらいいなあ。

 

kutabirehateko.hateblo.jp

広告を非表示にする