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祝・ふつう食

web日記 もちお 日常 家族親族

告知を受けて食事療法を調べ、もちおの身体の反応もみながら考えた結果、今年に入って主食を減らすようになった。芋類、玄米パスタ、大麦のロティ、十割蕎麦などを中心に、小麦は極力避け、白米も減らしたので2月の入院以来ご飯を炊いていなかった。

 

糖質制限を続けている人は自然に糖質がほしくなくなるという。わたしは最初のうちはなんとかなったけれど、ご飯におかずという組み合わせができないと献立を考えるのが難しく、家ではパスタか蕎麦だった。

 

ご飯も外で食事をするときにいくらか食べてはいたけれど、涼しくなったら俄然ご飯と味噌汁が食べたくなった。もちおの調子もまずまずいいので、思い切って普通食を作って出してみた。

 

イワシやサバの混合削りぶしを沸騰した湯にばさっと一袋あけて、出汁を取ったらさらしを敷いたざるで濾す。これをペットボトルに小分けして使う。便利。

 

雑穀と発芽玄米のご飯を炊きながら、オクラとえのきの味噌汁にきゅうり揉みと出汁茄子。あとは鯖を焼いて土用に実家からもらった鰻のたれをかけた。これが今年に入ってはじめて二人でいただくご飯とお味噌汁のある食事。

 

身体にあわない食事のときは食後ただちに様態が悪化する。食べる速度が速くてもよくない。久しぶりに家で食べる普通の食事は美味しくて身体がほっとしたけれど、食べているあいだはらはらしながらもちおを見て、食べ終えて数時間は様子を見ていた。

 

大丈夫だった。

 

ほとんど水も飲めなかったころを思うと本当にありがたい。ふつうにご飯が食べられる人生がずっとつづくわけじゃないと思い知らされたこと、それ自体はうれしくないけれど、こういうことがあってどうやって栄養を摂るか、あれこれ調べて、生まれつきチューブだったり点滴だったりがデフォルトの食生活を身近に感じることになった。

 

レストランで働いていたとき、ご飯、サラダ、ハンバーグをそれぞれミキサーにかけて出してほしいというお客様がいた。寝たきりのお子さん方を連れた親御さんご一行様の避暑旅行だった。入院中、普通食と流動食を選ぶ項目があって、あの親子たちを思い出した。若いコックが不服げに「これじゃ台無しだ」と文句をいっていたが、彼が生涯流動食の世話にならずにすむとは限らない。

 

食べるというのは栄養を摂るという目的だけでなく、一息つくとか、ちょっとした慰めやお楽しみを得る行為でもある。これがばっさりなくなったり、大幅に制限されるのは辛い。あの頃の気持ちを思い出そうとすると、思い出すとまた同じことが起きそうで怖い。生きているあいだ、誰もができるだけ食べる楽しみを何かしら味わえるようでありますように。喉の渇きが癒されますように。台風や地震で被災されたみなさん、戦火や暴力の中にいる方にも、食べるものと飲むものがありますように。あの怖さと逃げ場がないような不安にいる人たちみんなに、息がつける時間が訪れますように。

 

 

kutabirehateko.hateblo.jp