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夫の定期検査 水木しげるとゲームオブスローンズの現実

今日は月に一度の検査日。結果は悪いものではなかったことを最初にお伝えしたいと思います。ああ、よかった。ありがたい、ありがたい。心配の種であった先日の内視鏡検査の画像について前回とは別の医師から説明をもらい、安心することができました。

 

検査が近づくと夫は特に神経が高ぶるらしく、その煽りを受けるので毎回検査前の一週間は精神的にきつい日々です。余震の中で暮らすような、非常呼び出しを待っているような気持ち。二人でお茶を飲みながら落ち着いて話し合う気分にもなれず、夫は昼も夜もなく書斎で仕事をし、ベッドで眠れないといって書斎の床やリビングのソファで仮眠しております。こういうときはわたしも右往左往するばかりで、ブログ更新の頻度がぐんと上がります。*1

 

以前はこういうときネット配信ドラマや映画、とくにをHuluのドラマ「ゲームオブスローンズ」を観ておりました。*2しかし入院先の談話室で、点滴の間にとどこでもここでもせっせと観続けた結果、ついにシーズン5までを連休明けあたりで観終わってしまったのでございます。「ターガリアン、どうしてるかな…」「ブライエニーとポドリックはサンサに会えたかねえ…」と親戚を思うようにときどき話します。一年後なのか、いまのシリーズがHuluに来るのは!

 

いまのわたしたちにとってゲームオブスローンズのよかったところは、人は有事はもちろん平時であっても、病気でなくても死ぬときは死ぬ、と思えたところでありました。わたしたちが今夜生きていられる保証はどこにもない。何か特別な悲劇が我が家を襲ったかのように思ってしまうときに、いつ誰がどうなるかわからないあのゲームオブスローンズの世界を見ていると、その日その月その年の命があるのが当然の権利であるかのように錯覚しているのは平和ボケなのだなと、そのように思い知らされるのでありました。

 

水木しげる先生のご本も同様で、若くても、善良な人でも*3長生きできる保証はない。そして死は残された人にとっても、去りゆく人にとっても悲しいことではあるけれど、異常事態ではなく世の常なのだと、そういう気持ちになります。夫は「河童の三平」の名シーンをたびたび思い出しては「シャンペイ…っくぅ」とたびたび喉を詰まらせます。

 

水木しげる先生のご本をたくさん送ってくださったみなさん、本当にありがとうぞんじます。わたしたちはあれらの本から人生の厳しさと、それを乗り越えるたくましさ、また乗り越えられなかった人たちの悲しみにふれ、そしてそれでも淡々と日々の仕事と取り組みながら、生きることに興味を持ち続けた水木先生の生き方にふれ、たがいに助け合いながら苦難を生き抜いていきたいと決意を新たにしてまいりました。ほんとに。

 

水木しげる先生のご本にも、ゲームオブスローンズの世界にも、生き残る人たちの数奇な出会いと因縁、宿命のようなものを感じます。我々にとってはこうして回復を祈ってくださる方々との出会いがそれにあたるとぞんじます。

 

瀧波ユカリ先生がお母さまのご病気のことを書いていらっしゃいました。

「大富豪でも死ぬ‼ 『地獄の沙汰も金次第』が通用しないレベル」

お母さんに似ている人なんていない|ありがとうって言えたなら|CREA WEB(クレア ウェブ)

 おなじことをわたしも思いました。お金もコネクションも十分にお持ちだったであろう方が亡くなっている。夫と同じ種類のがんで検索するとそういう怖い話ばかり出てきます。受け入れたくないけれどこれが現実なのだと思いました。

 

それに対して妹は懐疑的な様子でいいました。「でも、助かってる人いるんでしょ?」

 

ハッとしました。悲劇こそが現実というのは偏った見方です。「究極的に何が効いたかわからないけれど、なぜだか助かってしまった」という方々がいらっしゃるのも現実なのです。

 

妹のところはお姑さんが長年闘病生活を続けていらっしゃいます。ご病気自体が珍しく、生存率もけして高くはなかったそうです。

 

「偶然目にした医師の名前にピンとくるものがあり、その場で連絡した。この病院を知らなかったらここにはいない」とお姑さんはおっしゃいます。

 

お姑さんは健康療法や食事療法などいっさいせず、医師が許可したものなら体調さえゆるせばジャンクフードでもコンビニ弁当でも何でも旺盛に召し上がるそうです。そしてさまざまな偶然に助けられ、何度も死線をくぐり抜けてこちらの世界にとどまっていらっしゃいます。

 

ゲームオブスローンズを見ていると、流石にドラマですからほんの一瞬の出来事がのちの結果を大きく左右するようなことがいくつも起きます。しかしああいう運の良し悪しはドラマの中だけのことでないからこそ、人はそこに共感を覚えるのかもしれません。

 

お姑さんは先日退院されました。予想された生存率の低さは驚くべき数字でしたが、ついに完全にがん細胞がなくなったそうです。そんなことがあるのですね。

 

生きていることはいつか死ぬことと同じくらい自然なことで、けれどもほかの人がどうであれ、誰もみな寿命が来るまでは生かされるものなのでしょう。これからも創意工夫していくつもりですが、究極的には運を天に任せて生きていきたいと思います。

kutabirehateko.hateblo.jp

 

*1:すると「俺、死んじゃうかもしれないのにブログばっかり!」ともちおが怒る。

*2:もちおはジョン・スノウの顔真似が上手。

*3:主人公であっても!