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ポリアモリーとカップリングと集団保育と多読書感想文

id:honeshabriさんにすすめられた本読んでがっかりしてるなりよ。すごく楽しみに読み始めたけど侵略者の既得権益側にいる子育て嫌いな男が既存の価値観に自然をすりあわせて書いたみたいな本でげんなりしてるわ。「雄雌は子育てを相手に押し付け合っている」とか「押し切られた方が」とか半陰陽のことを「本物の女より女に見える」とか、いろいろひどくて見てらんない。

 

あなたのところからGO WILD 野生の体を取り戻せ!  へいって芋づる式にBORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”読んだから、読んでる前提で書いてるけど、読んでるか読んでないか教えてほしいわ。

 

わたしが人間を種としてカップリングするポリアモリーだろうと思う理由は以下の通り。

 

狩猟採集時代は男女混合の集団で狩りをしてきた

人には肉食動物のような牙や爪がない。その代り長時間延々と走り続ける持久力がある。おそらく狩猟採集時代は男女混合の集団で(草食動物が力尽きるまで走って追いつめるタイプの)狩りをして生きてきた。(BORN TO RUNの結論)男が女を、あるいは女が男を支配する社会ではない。

 

女は妊娠中も授乳中も狩りに加わることが可能。もちろん狩りは集団で行うので単独では生きていけないが、我が子の血縁である男を特定して養ってもらうため依存する必要はない。そのような場合カップルになるかどうかは血縁であるかどうかより互いに気が合うものかどうかの方が重要だ。 

 

狩猟採集民族は獲物を群れで分け合い、家族単位で縄張りを争いをしない

言い換えると人間は「子殺し!子殺し!自然の摂理」といってきた人らが想定しているゴリラやライオンのように、単一の雄が支配する群れを作らない。現在見られる子殺しの原因は遺伝子云々ではなく共同保育の失敗と、資産や相続を血縁に限定しようとする社会制度による。

 

動物界で繁殖不可能な時期にも雌が性関係を持つケースをジャレドは「自分の子を産む可能性があると雄をあざむくため」*1というけれど、それは遺伝子を残すことが最優先なはずというジャレドの前提から導き出されたもので、ジャレドがそう考えているのは相続を血縁に限定する文化が自然だという先入観による。*2しかし狩猟採集時代の人間は相続すべき財産をほとんど持たない。土地だって畑だってないし、獲物はわけあうんだからね。

 

人が安全に成長するにはコロニーによる共同保育が必要

ジャレド・ダイヤモンドが意図的にか、完全にか見過ごしているのはここ。

人間の子供は自力で身を守れるまでかなりの時間を要する。また繁殖可能なまでに成熟するまで15年以上かかったと思われる。*3そのため人の子は血縁の二親に育てられる場合でも近親者や祖父母、コロニーのメンバーによって多大な世話を受ける。また財産の継承あるなしに関係なく養父母や保護者を持つ文化がどの民族にもある。*4

 

ちなみに動物界にもこのような共同保育の形態は見られ、同性愛志向の個体も保育に参加することによって群れに協力する。ジャレドは自分の遺伝子を残すことを最優先に生命は進化したと考えているけれど、これは自然から出た結論じゃなく、相続を血縁に限定する欧米の社会制度を本能によるものだと考えた結果だとわたしは思うわ。

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人の保育は本能ではなく教育と学習

人は教わらなくても生殖と出産まではできる。しかし保育は本能ではない。(この辺わざとなのか現実否認なのかジャレドは扱わない。)よって人の保育には手数として以外にも両親以外のメンバーが必要。

 

テンプル・グランディンは動物感覚の中で本能と学習について猫の例をあげて説明していた。猫は教わらなくてもネズミや虫を獲る。しかし仕留めた獲物を食べる方法は親世代に教わっていない猫にはわからない。猫を飼っていればわかるけれど、このような教育係りは血縁である必要はない。C・W ニコルのザ・ウイスキー・キャット や荒川弘百姓貴族 に納屋の掟を教える師弟猫の話があったよね。孤児の象が年寄り象の躾を受ける話みたいに血縁でない大人が次世代を教育することはよくある。

 

そもそもジャレドの前提が偏っている

ジャレドさん、いちいち動物の雄雌を「子育てを負担しないでちゃっかりセックスだけ楽しみたい男女」になぞらえていて気持ちが悪いわ。「父親として逃れられない」だなんて、よっぽど息子の世話が嫌だったのね。

 

ジャレドはカップル以外の雄雌が交尾をすることを雄にとってのダメージ、要するに「寝取られ」としてとらえているようだけれど、種として存続するには多様性が必要なんだし、それも一種の戦略なんじゃないの。精子が互いに協力して卵子を目指すこと考えてごらんよ。鯖みたいな弱い魚が「自分の遺伝子!自分の縄張り!」って「蜘蛛の糸」みたいに優先権を獲得するために殺し合うのが自然とは限らないじゃんね。 

 

自分の遺伝子を残す以外のミッション

わたしがこんな風に思うのは継母の連れ子である継妹の子、つまり血の繋がりのない甥介がめちゃめちゃかわいいからでもある。妹の子である甥太郎や弟の子である姪子が生まれたときはこんなにかわいいものか、血の繋がりすごいなと驚いた。従兄の子のときもそうだった。ところが血の繋がりが何もない甥介が発狂するくらいかわいいのでわたしの中の「かわいい=血の繋がり説」は崩れ去った。コロニーの中で慈しんで育てる子はかわいいのだ。実際血の繋がりのない子をかわいさあまってさらったり、養子養女にと懇願したりする人は少なくない。

 

保護者、また養育者、教育者として血縁が最善とは限らないことは多くの親子が同意すると思う。しかし資産を個人保有して血縁に相続させ、責任の所在を血縁か戸籍に求める文化では血の繋がりがやたらと美化される。これはその方が都合がいいからで、人の進化の過程に沿っているわけじゃないんだな、というのがこれらの本を読んだわたしの感想。

 

「ポリアモリーを擁護するのは」って書いてきた人がいたけど、擁護も何もそこに差別や虐待がない限りよそさまのセックスライフについていいも悪いも口出しする権利ないわ。ただ乱交や無責任な子作りの体のいい言い訳として新しいスタイルみたいにいうのは心底かっこ悪いし蒔いたものを刈り取るのは自分でやってほしいと思うわね。 

 

id:honeshabriさんがどういうお考えでこの本を紹介してくださったのかいつか教えていただきたい。バリスティックナイロンにも敬意を払います。ちなみに昨日はサイロ・エフェクト の本を買って、いま読んでいる。おもしろいけど紙の本で読みたい。引用箇所をあとで探すのが大変だから。

kutabirehateko.hateblo.jp

*1:表現がいちいち酷い。

*2:「なぜセックスは楽しいのか」という原題に対してこの結論はだいぶおそまつなんじゃないの。セックスをコミュニケーションとして使う方へは考えなかったのか。

*3:穀物を主食としない狩猟採集民族の少女は月経が17歳くらい。GO WILDの食物の章。

*4:GO WILDの睡眠の章とかね。