お見舞いの心得と禁句リスト

がん哲学外来の話~殺到した患者と家族が笑顔を取り戻すという本にお見舞いの心得とやっちゃいけないことリストがあって深くうなづいた。

 

 

訪問する時間を伝える

闘病中の人にも看護している人にも予定がある。まいにち仕事もせずのんびりしていると思ったら大間違い。何時に来客という予定に合わせて身繕いをし、薬を飲み、しかるべき運動や睡眠時間を調整するのは健康な時より負担が大きい。とくに病気が重いときは少ないリソースをやりくりして調子のいい時間を作らなければならないこともある。

 

「ちょっと顔を見に行くだけ。横になったままでいいから気にしないで」

とあなたが思っても、相手は寝癖でぼさぼさの髪や髭モジャの顔を見せたくないかもしれない。出来るだけ早く訪問の予定を伝えておくこと。

 

禁句1 「具合はどう?」

風邪を引いて二、三日寝込んでいた人になら「熱は下がった?食欲は?」と聞くのはそれほど悪いことではない。でも慢性病にある人には様態を聞いても特に発展性のある明るい話題ではないと思った方がいい。聞いた側に問題解決のために出来ることが特にないならなおさらだ。

 

「具合はどう?」

「よくないよ」

「そうなんだ。つらいね。早くなおるといいね」

 →終了

 

やりきれない不調を誰かに聞いてほしいと思っている人はいる。当事者がそれを望む場合は話を聞くことが助けになる。けれども礼儀として答えないわけにいかないという理由で自分の具合の悪さを何度も言いたくないと思う人も多い。話しても解決するわけではない問題を話題にしたくはない。

「完治した!検査結果もパーフェクトで奇跡だって驚かれているよ」ということになれば聞かれなくても本人が語ってくれるだろうし、お見舞いされなければならないような状況にもいない。

 

様態が気になるなら漠然とではなく具体的に目的を持ってたずねるとよいでしょう。つまり「お見舞いに果物を持っていきたいけれど、果物は食べられそう?」「半日くらいなら付き添いをかわることが出来るのだけれど、看護をかわってほしい日はある?」とかね。

 

禁句2 「仕事は大丈夫?」

仕事とは勤めのことだけではなく、経済状態や家事についても同様。当事者が今後どうしたらいいかと悩んでいるところに追い打ちをかける結果になりがち。

 

「そんなに仕事を休んで大丈夫なの?」

「入院で家を空けて子供の面倒は誰が見ているの?」

「治療を続けられる貯金はあるの?」

 

こういう質問をするなら大丈夫でなかった場合の経済的な支援や具体的な援助の手立てを考えた上ですること。結婚を望む人に「いつまでも結婚しないで大丈夫なの?」といったり、職探し中の人に「そろそろ就職した方がいいんじゃない?」といったりすることの無意味さを考えるとよいでしょう。*1

 

禁句3 「感動しました」

これが意外に多いらしい。心ならずも難病、奇病をえて人生を(家族を、生き方を、本当の友情を、真実の愛を)見つめなおす機会になったことから「「この病気は自分にとって贈り物だ」と語る人がいる。またそのような話を美談として感動的に描く番組やドラマがある。

 

そのせいかリアルタイムに病をえて苦労している人をドラマの登場人物のように受け止め、「あなたの生き方に感動しました」「夫婦の(家族の、親子の、恋人同士の)絆に感動しました」といってくる人がいる。

 

これは平たく言うと人の苦労を感動ポルノとして扱っているのだけれど、言っている側はそれに気が付いていないので非常にたちが悪い。褒めているのに何が悪いと思っている。「こんなハンディがありながら生きているんですね」といわれることで、とつぜん自分は「健常者」の枠外に押し出されたことを思い知らされる。これは非常にショッキングなことだ。

 

とくによく知らない相手から言われると「お前に何がわかる」と屈辱感と怒りを覚える。自分は(あるいは闘病中の家族は)おまえの安っぽい感動のために命がけの苦労をしているわけじゃないのだ、と思う。しかし悪気がない相手に面と向かって怒りをぶつけることもできない。

 

病気を軽く扱わない

治療のため休暇を申請したところ、上司から「がんくらいで休むな」といわれショックを受けた人の話があった。上司は病気があってもなくてもこれまでと変わりなく接することを示そうとしたのかもしれないが、実際病気になればこれまでと同じようにできないことはある。

 

うちにも発破をかける体で「絶対に死ぬなよ」「次に会う時まで生きてろって言っておいて」「復帰待ってますから早く治して」と命令口調で言ってくる人がいた。こういう言葉は深い関係性と信頼とタイミングがぴったり合ったときにだけ人を元気づけるが、たいていは言っている側が何かしてやった気になるだけで、言われた側は途方に暮れるしかない。

 

お見舞いにふさわしい話題

ではお見舞いにいったら何を話せばいいのか。忘れてはいけないのは闘病中の人はあなたやあなたのまわりの健康な人と同じ感覚を持っているということだ。つまり基本的には健康な友人や恋人との間で盛り上がる話はOK、ドン引きされる話題は避けた方がいい。つまり共通の土台があり、発展性のある話題。

 

たとえば天気の話、季節の移り変わりの話、最近のニュース、映画や本の話、趣味の話、共通の知人や家族の話。

 

でも相手が抱える解決が難しい問題を軽く扱ったり、よく知らないのに指図をしたり、その場の勢いで精神論をぶちかませばうんざりされる。相手の悩みを自分の感動ポルノのコンテンツのように扱えば嫌われる。

 

秀吉さんのパーティートーク指南あたりを参考にしていただきたい。あれはお見舞いにも有効。お見舞いもナンパも合コンもサービス精神が基本だからね。

oreno-yuigon.hatenablog.com

 

kutabirehateko.hateblo.jp

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*1:「いい人・有望な勤め口を紹介するわ」という話が続く場合ならいいよね。

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