ディズニーツムツムとアカレンジャー系ヒロイン

夫のスマホアプリにはまる
 
去年からディズニーツムツムというスマホの消しゲーアプリにはまっている。時間内に落ちてくるツムをなぞって消す。たくさんなぞると点が高い。それだけ。夫の職場にどはまりしている人がいて「協力してくれ」と頼まれたのがきっかけ。
 
はじめは夫がやっているのを見て「やりすぎだ!」と怒っていたが、なんどか貸してもらっているうちにわたしがはまった。スマホを充電しながら眠る夫の横で、幾晩朝までディズニーキャラを消しまくったことか。*1
 
最初は得点をあげること、コインを稼いでキャラを増やすことに燃えていた。ゲーム自体は単調なのでそれだけでは飽きる。飽きたところでイベントが開催される。またはまる。毎月何かしらイベントが開かれている。
 
今月は「お片付け大作戦」という、キャラクターを性別にわけて加点するイベントが開かれている。プレイするキャラクターを選び、選んだキャラクターと同性のツムを消すとイベント得点になる。
 
ミッキーやドナルドといった男の子ツムを消すと、プーやティガーといった男の子ツムが得点対象。ミニーやデイジーのような女の子ツムを消すと、ティンカーベルやアリスといった女の子ツムが得点対象になる。選んだツムと異性になるツムは消しても得点にならない。
 
こういうイベントではアイテムを使うと捗る。コインを使ってアイテムを買うと、時間を延長したり、ボムを増やしたり、通常5種類落ちてくるツムを4種類にすることが出来る。
 
わたしは日頃蜂プーと呼ばれるツムでコインを荒稼ぎしているので、こういうときはここぞとばかりにコインを使う。コインを潤沢に使えばだいたいなんとかなると夢と魔法の王国は教えてくれる。
 
コインで解決できない問題
 
ところがですよ。女の子キャラを選んでアイテムをフル活用しても、5種類中4種類、ツムを減らしているときでも4種類中3種類が男の子キャラということがよくある。はじめのころは「ついてない」と思っていた。しかし何度かそういうことが続いてやっと気が付いた。ディズニーツムツムは女の子キャラが少ない。
 
わたしが女の子キャラをあまり持っていないというわけではない。むしろ持っている方だと思う。だから女の子と男の子のキャラは半々くらいの割合だと思っていた。しかしよく見たら圧倒的に男の子キャラのツムの方が多い。
 
試しに今日付けで公開されている全種類のツムを数えてみた。72種類のうち男の子ツム47、女の子ツムは25。このうち1種類はイベントクリアで登場するので、イベント開始時の女の子ツムは男の子ツムの約半分。落ちてこないツムは消しようがないので、ちっともはかどらない。
 
特別な女の子とふつうの男の子
 
女の子ツムがこんなに少なかったとは知らなかった。なぜ気付かなかったのか考えてみたんだけど、プリンセス登場!と大々的な宣伝とともに鳴物入りで登場した女の子ツムが多かったからだと思う。「お、またプリンセスか」と思っていた。
 
わたしがゲームを始めてからまだ1年経たないけれど、その間にちょいちょいプリンセスお披露目があった。少なくとも13個、女の子のツムが増えた。現在公開されている女の子のキャラの大半が登場1年未満ということになる。
 
それに対して男の子ツムは特に「男の子!」という印象がない。女の子のツムは主役か*2主役の恋人*3だけど、男の子のツムは主役もいれば脇役もいる。恋人もいたりいなかったりで、年齢層も広い。わたしはふと昭和の特撮ヒーローものを思い出した。
 
ゴレンジャーごっこキャスティング問題
 
甥姪を見てるといまはあまりやらないようだけど、昭和の子供らはごっこ遊びをこよなく愛した。筋書きにはおかあさんごっこ、学校ごっこといった日常系のほかに、映画やアニメのなりきり系として特撮ヒーローものごっこもあった。
 
当時は「秘密戦隊ゴレンジャー」が放送開始されたころで、教室や校庭でゴレンジャーごっこをする男子がちょいちょいいた。ゴレンジャーはそれぞれテーマカラーを持っている。アカレンジャーはリーダー、アオレンジャーはクール、ミドレンジャーはナチュラル系、そしてキレンジャーはカレー好きでお笑い担当、最後に紅一点というか、桃色のモモレンジャーがいる。
 
男の子向けの番組なので、男の子にはさまざまなキャラが用意されている。リーダーはやっぱ俺だな。いやクールな青のサブリーダーのがすきだからそっちやりたい。弟を緑で入れてやってよ。俺カレー好きだから黄色ね!という感じでキャスティングが決まる。
 
そういうところに「わたしもやりたーい!」と女子が入ると、採用は当然桃色のみになる。
 
いや、桃色、いいですよ。わたし桃色すきだったし、いまも好きだし。でもね、モモレンジャーってヒロインじゃん。女子力高くてハードル高いんですよ。柄じゃないっていうか。男子もね、やっぱかわいい子にやってほしいわけ。入れてくれるけど微妙な感じ。なんかいたたまれないから「じゃあ怪人側でいいかなー」って思うわけ。
 
この紅一点女子力高いというのはゴレンジャーだけの話ではなかった。「ウルトラセブン」のアンヌ隊員を見よ。「キカイダー01」の女性キャラなんか名前が「ビジンダー」だ。「ビジンダー!」って言いながら登場する。ごっこ遊びの最中でも、素に戻らざるを得ない。
 
男子には一般人の役がある。悪の親玉や雑魚の役もある。博士や隊長の役もある。しかし女子には紅一点ヒロイン以外で名前のある役は、ほぼない。単発登場しても、誘拐されて人質にとられるのが関の山だ。
 
いっぽう女の子向け番組にはもう少し色々なタイプの女子が登場する。ヒロインの友だちはかわいこちゃん女子、しっかりもの女子、お笑い担当と女子とつっこみ担当女子などがいた。男子も、ヒロインが恋するヒーローのほかに幅広い年齢層の男性キャラがそれなりに登場していたように思う。*4もちろんヒロインは意中の彼以外には歯牙にもかけないんだけど。
 
こうして見てみると、意外なことにディズニーツムツムは男の子向け番組に近いような気がする。ディズニーツムツムに登場する女の子キャラはプリンセスなど物語の主人公や、妖精、魔女など特殊能力の持ち主か、ヒーローの恋人に限られる。脇役キャラのツムは男の子ばかりで、独り身の一般人、サブキャラ女子は採用されない。
 
これはミソジニー大国と呼ばれるアメリカが意図的に女性を排除した結果ではなく、これまで女性に与えられてきた役割のせいだと思う。
 
アカレンジャー系プリンセス
 
近年のディズニー映画を観ていると、女の子に背負わせているものがものすごい。そのうち宇宙とか救うと思う。それ自体は別にいい。男の子だってさんざん人類の危機を救ってきているんだからそれくらい出来るだろう。女の子だって世界を救えるのよ。
 
ただ、男の子がヒーローになるときは彼を支える仲間がいて、恋人(かどうか微妙なのも含めて)がいて、応援してくれる大衆がいることが多い。バットマンなんか実質おじいちゃん二人が手取り足取り坊ちゃんを甘やかすし、アイアンマンも会社の金と技術と美人秘書の手助けで好き放題出来ている。
 
でも女の子はそうじゃない。誰にも頼らずたった一人で立ち向かう。自分を信じてがんばらなくちゃ、特に男には頼っちゃダメ!ハッピーエンドでキスして愛を告白したり、家庭を持ったりしたらダメ!結婚はあなたを縛るものなのよ。3Dになったアリス・イン・ワンダーランドの唐突で強引なラストを見たとき、これは国策か何かなんだろうかとわたしは思った。
 
確かに世界を背負って立つ女の子はいるだろう。全宇宙の運命を握る特別な女子が人類の未来を変えることもあるだろう。でも大半の女子はそうならない。それは大半の男子がそうならないのと同じだ。たった一人の選ばれた誰かが使命を遂行するためには、地味で目立たない仕事を陰で黙々とこなす人が必ずいる。バッドマンの世話を焼いていたじいちゃん達のように。
 
「『女子だから』ふつうは世界を救えない」ということではない。男女を問わず、人類が種として共存するためには先頭で偉業をなすひとと、ひっそりシャドウワークを果たすひとがどうしても必要だからだ。(おおげさ。)操縦席はひとつでも、操縦士だけじゃ飛行機は飛ばせない。バッドマンはじいさんあってこそ、紅の豚はばあさんあってこそ飛べるのだ。
 
近年のハリウッドとディズニーが描くヒロイン像ってエクスカリバー抜けちゃった系だ。そこを目指さないと敗北で挫折で志低いみたいに書かれてる。結婚恋愛コースか、救世主、生き神様コースの二択。男なんて!という結末が希望と結びついてる。ヒーローは家庭を持てるのに。

「青年が大志を抱くべきなら乙女も大志を抱くべきだ」ということなのかもしれないけれど、これじゃモモレンジャーアカレンジャーになっただけなんじゃないかな。わたしは女の子が*5もっとカラフルな役を選べたらいいと思うよ。
 
名脇役が世界を救う
 
昭和には「おまえは女じゃない」「あたし中身は男だから」という人がたくさんいた。女が出来る役が少なかったから、それにはまらないと女じゃないと思う人が多かったんだと思う。でも「キレンジャーアカレンジャーじゃないから女の子だ」とは誰も言わなかった。モモレンジャーじゃない女の子もいる。
 
主役じゃないけど印象に残る男性はヒーローものによく登場する。バッドマンのじいさんとか。*6そういう、主役じゃないけどすごい女性や、恋人候補じゃないけど魅力的な女性、カレー大好きお笑い担当女性なんかが脇役として登場するお話が、もっとあればいいのにと思う。 
 
もちろん一般向けのヒューマンドラマにはそういう女性が多数登場する。でも子供向けにそういう男女が登場することは違う意味でさらに大事だと思う。「若くてかわいい美人」「野性的で男まさり」以外にもいろいろな活躍の仕方があると、特に子供たちに知ってほしい。
 
ディズニーはヒロイン以外の、脇を固める女性にもっとスポットライトを当ててくれたらいいのに。たとえば美女と野獣のポット婦人とか。ツムツムにはティンカーベルが登場するけどウェンディーは登場しない。模範的なおりこうちゃんではダメなのだ。個性があって、独自の哲学がある、でもごくふつうの人。*7
 
ディズニーツムツム制作側がこのアンバランスに気付いてくれるといいんだけどね。そして親玉のディズニーも女の子に赤レンジャー系ヒロイン以外の道も、もっと示してほしいよ。
 

*1:そして「レベル上げておいたよ!」と恩着せがましく言う。

*2:おしゃれキャットのマリーやプリンセス系

*3:ミニー、デイジーなど

*4:弟とかヒロインにデレデレする三枚目とか味のある親族とか。

*5:そして男の子も

*6:じじい好きすぎうざいですか。

*7:宮崎駿のアニメのいいところは、全年齢で活躍する女性が大勢出てくるところだ。もちろん男性も。子供のころから見てきたけれど、お姉さんになったら、大人になったら、歳を取ったらこうなりたいと憧れる女性が宮崎アニメのなかには何人もいる。

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