読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

モテるけど勘違いがすすむ話術

モテ指南おすすめの会話術は会話を弾ませるけれど、相互理解には向かないというお話。

 

id:dlfhmさんことシャーペンさんのコミュニケーション指南とモテ指南を比較した興味深いエントリーに、サークラ、モテ、恋愛工学にはまる人を引用していただいた。

前回モテ指南は非コミュ自認の強い人にとって話術を磨き、人間関係に対する苦手意識を軽減する一定の効果があると書いた。シャーペンさんも「はじめて会う相手との雑談や目的のない雑談が苦手だった」そうで、これをきっかけにモテ指南、コミュニケーション指南を研究してみたようだ。この二つはどこが違うのか。

 

コミュニケーション指南とモテ指南の比較

シャーペンさんが実践したコミュニケーション術は吉田尚記なぜ、この人と話をすると楽になるのかに基づいている。

コミュニケーション指南のほうは、相手に興味をもって接すること、win-winを目指すこと、などが言われている。

コミュニケーション指南を実践した感想 - シャーペン雑記

amazonレビューによると以下のような特徴もある。 

  1. ホメる。すると自分が相手に受け入れられる。 
  2. 驚く。言葉の組み合わせの新奇性がキモ。
  3. おもしろがる。おもしろい要素に目を向け、引き出す。
  4. ウソを言わない。ウソをつくぐらいなら黙秘せよ。
  5. 自慢はダメ。「この人、一目置かれたいキャラなんだ」と、イメージが固定されてしまうから。
  6. 相手の言うことを否定しない。異議があるなら黙秘せよ。
  7. 「嫌い」「違う」は避け、「こんな解釈もあると思うんだけど?」とソフトタッチで。 

 

Amazon.co.jp: なぜ、この人と話をすると楽になるのかの ロビーナさんのレビュー

これまでモテとナンパをめぐる話を読んでこられた方は「お!モテ指南と似とるやんけ」と思われたのではないだろうか。シャーペンさんが実践したモテ指南は以下の通り。

  1. 挨拶とお礼を必ずする
  2. 悪口・愚痴を言わない
  3. 相手のことを質問する
  4. 小さなことでも相手をほめる *1

    サークラ、モテ、恋愛工学にはまる人 - はてこはときどき外に出る

補足するとモテ指南には以下のような特徴もある。

 5. 積極的寛容さ

  「一般に短所と見られる部分に対してポジティブなコメントをする(ただし一般論で)」*2

  ・お金を稼げない男性

   「こういう時代だから仕方が無い。女性が頑張らないと」

  ・女性をリードできない男性、話下手な男性

   「かわいい。女性がカバーするから問題ない」


 6. 自分の魅力を伝える

 →創作でもいいので相手好みのプロフィールを用意して語る*3

6については昨日ヨッピーが非常に具体的なアドバイスを出したばかりだ。 

wedding.mynavi.jp

モテ指南のうち1~5まではコミュニケーション指南とよく似ている。6は自慢と嘘を非とするコミュニケーション指南と対立するが、話を捏造せず相手に好感をもってもらえそうなことを積極的に開示していくこと自体は問題ではない。両者は一見とても似ているように見える。しかしシャーペンさんによるとコミュニケーション指南とモテ指南の実践結果には大きな違いがあった。

 

コミュニケーション指南の実践結果 

シャーペンさんの実践結果をまとめると以下のようになる。

  • 雑談が楽になった
  • 相手の反応が悪い話題でもまったく気にならなくなった
  • 感情が安定した
  • イニシアチブを取ることで余裕が生まれ、話題の変更が容易になった
  • 周囲から笑顔で話しかけられるようになった

 

結論: 職場など、仲良くして損はないところでは、処世術として有効 。

 

コミュニケーション指南を実践した感想 - シャーペン雑記

よかったね!ちなみに吉田尚記さんはラジオパーソナリティーとして毎回ゲストを迎えるにあたってこのようなテクニックを編み出したのだそうだ。ではモテ指南はどうだろうか。

 

モテ指南の実践結果

シャーペンさんはモテ指南の効果には「いいことと悪いこと両方があった」という。

いいところそのいち

確かにもてる。人とも仲良くなれる。ある意味で誰でも効果があるので、普段だと仲良くはならないような人でも、ある程度仲良くなる。

いいところそのに

さらに、ある程度の時間をすごすことで、相手のいいところやこれまでになかった面を見ることもある。

悪いことそのいち

つかれる。つまらなさそうな人が本当につまらないこともあるし、普通だと思ってた人の下種な部分を見ることもある。

相手がこちらに良いところを見せようとして、馬鹿みたいな自慢を聞かされることもある。

悪いことそのに

モテ指南はとにかくなんでもいいからほめろ!相手の事を聞け!なので、AがだめならB、BがだめならCとなり、コミュニケーションがある種の作業ゲーになる。

 

結論:モテ指南は確かに有効。
たぶん、モテ指南によりコミットしていれば、更なるモテも得られると思う。ただストレスがたくさんたまる。
会う人合う人にこれをやると、私はストレスで死ぬ。むいていない。
 

モテ指南を実践した感想 - シャーペン雑記

シャーペンさんは両者を比較して「コミュニケーション指南でも、相手が話しやすいテーマを探すことは一種のゲームのような感覚だが、作業ゲーのようなむなしさはない。恋愛工学の○○フェーズ、などはおそらくこのような気分なのだろう」という。

 

ところがこちらが「ストレスで死ぬ」と思うほど疲弊しながら話を聞いていても相手はそれに気がつかないどころか「距離が縮まっている」と勘違いして好意さえ抱いてくるのはなぜなのか。

 

モテ指南は受身な相手を慰撫する話術

聞き上手であることはコミュニケーション指南でも重要な点としてあげられている。熱心な聞き手であることは相手の話を引き出し、また相手からこちら側に質問するきっかけも作る。しかしなかにはボールを投げてもらうばかりで、いつまでたっても自分から投げ返してこない人もいる。

相手からのアクションがないケースはいくつかあるが、受身な人が目立った。
まず、「あなたは?」という質問すらろくにしてこない人がいるということを発見した。会話だけでなく、ほかの行動に関しても受身な傾向がある。
誘えば来るけど、相手からは誘ってこない。私にあまり興味がないんだな、と最初は判断していたが、この手の人ほど後から告白してきたり異性として好かれていたことが発覚した。

サークラの鶉まどかさんはこのような対応をする男性を離乳食男子と呼んだが、男性にリードしてもらうことを望み、自分から相手の会話を引き出そうとしない離乳食女子も存在する。槙野さやかさんは相手に自分の感情をコントロールしてもらおうとする態度を精神的おむつ替えと呼んだ。*4

 

このような相手と会話を続けるには、モテ指南の「相手を誉める」と「積極的寛容さ」を交互に続けながらどんな話題もこちらで拾って膨らませ、好意的に解釈して誉め続ける必要がある。

 

わたしもこれをチャットで試してみたことがある。受身で否定的、攻撃的な相手であってもモテ指南通りの受け答えを実践していると、相手はだんだん意欲的に話し始める。しかしたいていその中身は下種な愚痴と自慢と悪口で、それらを拾い続けることは精神的にかなりのダメージがある。相手はジャイアンリサイタル状態だ。「悪口・愚痴をいわない」を実践しているとそのような感想を伝える機会もない。

 

モテ指南を説く人々はしばしば相手の話を真に受けないで聞き流すことを強調する。「『札束が喋っている』と思えば仕事中、腹も立たない」と語った人がいたが、相手を喋ってる何かだと思いながら作業ゲーをこなす感覚で愛想良く笑い続ける。これがモテ指南おすすめの話術である。これは適性がない人にとってはストレスフルでなもので、相互理解には向かない。

 

会話の目的はなにか

シャーペンさんも書いているが、表面的にこのような態度をとることは相手にとても喜ばれることが多い。みんな大好きHagexさんに 心の中で毒舌という話があった。これは夫に内心毒をはきながら表面的にニコニコしつづけていたら夫がどんどんいい男になり、「尽くしてくれるいい女」と上司に自慢するまでになった、という話だ。

 

デートに誘われたい、肉体関係に合意してほしい、本命に選んでほしい、契約書にサインがほしいなど明確な目的があり、それさえ達成できれば理解されることは望まないという場合、モテ話術は非常に有効だ。

 

このような態度で一生終えることができればそれが本望と思うモテ農夫たちはこれでいいと思う。しかし会話の目的が相互理解であり、友達であれ伴侶であれ腹を割って話せる気の置けない相手をもとめている場合、モテ話術は最悪だとわたしは思う。

 

また交際前、結婚前、肉体関係にこぎつけるまでモテ話術に徹し、相手の合意を得たとたんそれまでの反動で素の自分を相手に押し付け始める人も少なくない。これは契約破棄一直線である。やられる側もモテ話術でおむつを替えてもらっているとこういうギャップに気づかない。

 

やはり多少波風がたっても自分の意思を伝え、自分に話をふってくれる相手をみきわめた方が長い目でみてよいとおもう。相手にも自分にも自由意志があり、それをテクニックで操作しようというのは相互理解ではない。「断られないテクニック」は「思い通りが通るテクニック」だ。そんな魔法を求めるのはやめないとあかん。

kutabirehateko.hateblo.jp