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お父さん、お母さんがキモいと思われないために大切なこと

今日は仕事で、車で450km走った。ヘロヘロ。疲れてるといつにもまして長文書くよ。

待ち時間にタイムリーな本を見つけた。

 webで掲載されたものに加筆修正されたものだった。こちらが元ネタ。定番のお風呂問題も冒頭に出てくる。やはり娘が父親から離れると気になる部分はそこなのか。

加筆されていた部分に「お父さんは自分を客観視できていない。自分のしていることを客観的に考えてみて」という娘からの言葉があった。「お父さん以上にキモい人はいないね。成人男性全員がキモいんじゃなくて、お父さんがキモい」。本文を読むとこれは娘さんの言い分が正しいと思わざるをえない。中山さんが娘にしていることを一部紹介する。 

 

娘: 何て言うのかな、本当に「オェェ……」て感じで気持ち悪い。ゾワゾワする。

(中略) 

娘: 清潔かどうかってことじゃなくて、行動とかしゃべり方とか……存在そのものが気持ち悪いの。

(中略)

娘: いっぱいあるよ。まず、あたしにベタベタしてくるでしょ? 可愛がりすぎるのがキモい。あと、フツーにサオリって名前で呼べばいいのに、サオリタンとかサオリンとか変なアダ名つけてすり寄ってくるじゃない、あれ何。いい大人がそんなことするの、気味が悪い。そんな家庭、絶対にないよ。

 

父: それは、父なりの愛情表現というやつなんだが。

 

娘: かもしれないけど、気持ち悪いよ。他にも、お風呂の後で素っ裸で歩くのやめて。ただでさえ、お腹ブヨブヨでみっともない。女の子がいるんだから、ちょっとは遠慮してよね。

(中略) 

娘: そーゆーのをまとめて、キモいって言ってるの。お父さん、あたしのこと好きすぎるかもしれないけど、フツーに大人っぽくしてて。お願いだから、もっと落ち着いてて。

 

娘: ついでだから言うけど、あたしが寝てるとき、ほっぺたにキスしてくるのだって、知ってるからね。内心「うぎゃーーー」だけど、ガマンしてあげてるんだから。他人が見たら、ド変態行為だよ。

 

父: な、何を言う! アメリカでは日常茶飯事だ。

(中略)  

娘: それはアメリカだから! ここは日本! お父さんはアメリカで暮らしてたことがあるからそうかもしれないけど、文化が違うでしょ。

 

父: 我が家もアメリカ式で、やっちゃダメかな? ハグとか、ほっぺにキス、したいんだけどな。

娘: 変態オヤジめ……次やったら、殺す(怒)。

 

これらに加えて書籍には「娘の布団に足元からもぐりこんで来て抱きつく」「背後から抱きついて耳たぶに鼻をこすりつける」などの行為が上げられていた。これは成人男性が中学生にやるのに適当なことではない。まるで新婚夫婦だ。

これらの娘の指摘に父である中山さんは反省するのだけれど、この後それらがけして性的な意味合いではなく、ただただ愛情のあらわれだという説明に頁が割かれている。

 

愛情のあらわれかどうかは問題ではない

わたしは父親に面と向かってまじめにキモいと断言する娘さんは健やかに成長されたのだなと思った。父親が逆上したり狼狽してどうにかなってしまうと思ったらこんなことはいえない。*1中山さん親子には信頼関係がある。お嬢さんは自分を溺愛し、異常な執着心を見せる男性を心底不愉快に思っている。これは自分の私的領域がはっきりしているからだ。

 

親だろうが子だろうが自分の私的な領域に同意をえずずかずか入ってくる人に嫌悪感を持つことはたいせつだ。この感覚が自分にとって危険な人を避け、相手の私的な領域を尊重し、人と人との安全なコミュニケーションを作る基盤になるからだ。

どんなに熱烈な好意を持たれたとしても、たとえ命の恩人であっても、この領域にいれたくない人をいれてはいけない。その境界が曖昧な人は自己と他者の区別が曖昧になり、干渉したり、されたりをどこで食い止めたらいいかわからなくなる。

 

幼児の間は寝食から排泄まで親と子には私的な領域がほとんどない。子供が自力で食事や排泄をこなし、日常生活が送れるまでそれはやむをえないことだ。でも子供がある程度それらを達成できるようになっても、幼児のときと同じレベルでやりたいように子供に愛情を表現し、生活に干渉するなら子供は親から離れることができない。まして親に対して幼児のときと同じレベルの愛情表現を親が望めば子供は混乱する。

 

問題は性差ではなく個人の私的領域

父親と娘がいつまで風呂に入るかという問題にわたしが意見をするとすわジェンダーだフェミだ性差だと騒ぐ人がまいかいいる。「母と息子だったらどうか」と質問したように、わたしはこういった問題を女子特有のものだと思っていない。思春期の娘と無理やり風呂に入って恋愛事情を聞きだそうとする母親や、ふざけ半分で息子の裸体を見たがる父親も、自分の子供だというだけで私的領域を軽視している点でわたしにとっては不健全で不愉快な親だ。息子を夫がわりにしてしまう母親についてはいうまでもない。

 

「うちの子は親との入浴を嫌がっていない」についていうなら*2どうして大人の側が子供に親の私的領域へ侵入するべきでないと教えないのかと思う。子供にたいして「もう赤ちゃんじゃないんだから、性器をあらわに全裸ですごす相手は互いに選ばなければならない」と教えるのは親の役目なんじゃないの?寝室に立ち入ったり、夫婦の時間を邪魔したりしないように教える時期に入っているんじゃいの?*3

 

身体は大人で精神的に幼い子供にたいしては、なおさらそういった教育が必要なはずだ。性器や乳房が強調される服、下着が見える服に気づいたら教えるのが親だ。身内であっても異性と同性を意識すること。自分が子供を性的な目で見ていないなんてことは大前提、わざわざ強調することではない。親ではなく社会がこれから自分をどう見るのかを教えるのが親だ。

 

思春期に入った子供に対するこういった責任を「子供が望むから」と子供に投げて、請われるままに睦まじく背中を流していればいいというものではないとわたしは思う。外から指摘されて恥をかき、あるいは危険な目に遭ってはじめて学ばせるばかりが能ではない。

 

年頃の娘と風呂に入る自分を肯定したがる増田たち - はてこはときどき外に出る

胸がふくらんできて、毛が生えてきた娘を、ちゃんと一人の女性として扱う初めての男性になってほしいな、父親には。

2015/09/10 10:04

b.hatena.ne.jp

 「性的な視点をもっていない」なんていっている場合ではない。ちゃんとレディーとして、紳士として扱ってちょうだい。

キモいという言葉に強く反応する人が多かったけど、世の中には気持ち悪いと思うことで自分の身を守れることがいくつかある。今回の件はそれにあたるとわたしは思うよ。 

 

追記

この増田の話を交通事故にたとえたエントリー。わかりやすく興味深かった。

 

d.hatena.ne.jp

*1:子どもにとっては、ある意味「安心して父親を忌避出来る」ことって結構重要だと思うんです。自分が父親と疎遠になることで、父親の居場所自体がなくなっちゃうとか、家庭内の空気が険悪化しちゃうとか、子どもの精神衛生上、いい影響が出るわきゃありません。両親の仲が良くって、家庭内が安定していてこそ、子どもも安心して精神的自立が出来るってもんなんじゃないかと。男親が子どもとの関係を将来に渡ってよくするために必要なたった一つのこと: 不倒城

*2:仮にそれが100%信じていい話だったとして

*3:いちいち書くと長くなるから書かなかったけど、それで責任能力のある大人として身体を扱えるようになったら混浴でもヌーディストビーチでもどこでもいけばいいよ。子供のままに大人の身体でいるのはまずいよ、って親が教えたほうがいいんじゃないの?ってこと。