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洗濯機ごっこ

実家で甥介3歳と遊んでいたら、興奮した甥介に突進され、甥介は抱きとめたがわたしは仰向けにフローリングの床に激突して後頭部を激しく打った。さいわいわたしの頭部は強度が十分にあったので痛いだけで済んだが、実家のリビングはタイル張りなのでそっちだったら危なかった。

甥介ははてこおばさんに追いかけられるのがだいすきで、誘い受けもいい加減にしろというくらいちょこまかとやってきては「きゃー!やーめてー!」と独特の節回しで歓声を上げて逃げる。楽しいんだけど、かすり傷でも負わせたら甥介祖母である継母がどうなるかわからない。

ということで、安全でスリル満点な遊びを考えてみた。大好評だったのでご紹介したいと思います。洗濯機ごっこと名付けました。

 

洗濯機ごっこ

コツ:なるべく真顔でニコリともせずにやること。

 

子供をソファに可能な限りぞんざいに投げ出す。

 

スイッチオン

効果音とともにくすぐりながらわやうくちゃにする。真顔で。

「やめてー!」とか言ってくるけど相手は洗濯物だから聞こえないと考える。

 

二層式ではないが、 全自動ではない。

 

スイッチオン

 

くすぐりながら全力でもみくちゃにする。

脱水なので効果音ともみくちゃにする方向を少し変える。真顔で。

 

子供をしっかり、かつぞんざいに抱き上げる。手足がはみ出したままにするなど洗濯物として抱えられている感を演出するとよい。「今日は晴れてるからすぐ乾くだろうな」とか「雨がふらなければいいけど」と回数ごとにひとりごとを変化させる。

 

別のソファにぞんざいに投げ出す。畳んだ布団などでもよい。「皺を伸ばさなきゃ」と言いながら手足をひっぱったりするとなおよい。

 

「服の中身ごと洗ってしまった!なんということでしょう!!」と精神誠意びっくりしてみせること。以降は洗濯物ではなく子供として扱う。

 

元ネタ

この遊びはアガサ・クリスティーが自伝で書いていたチキンごっこをベースにしている。アガサ・クリスティーは幼いころ母方の祖母の家の台所で、チキンとして扱われる遊びが好きだったそうだ。チキンとして下拵えされ、料理され、いよいよナイフで切り分けていただきましょう、というときになると幼いアガサが「わたしよ!」という。すると毎回祖母がびっくりしてみせる。このおばあちゃんは淡々としたクールな人で、だからこそ面白かったのだと思う。

甥介はわたしが真顔でおかしなことをするのがだいすきで、この遊びはとても気に入った。10セットくらいやらされた。途中はてこおばさんを洗濯機に入れて洗って干し、「あ!はてこだった!洗っちゃった!」と喜んでいた。

 

子供はかわいいの。継妹の子だから血の繋がりはないけれど、この子がしあわせになってほしいと思わずにはいられない。会うたびに大きくなっていっていろいろなことを覚える。それを見るとうれしい気持ちとさびしい気持ちとを同時に覚える。わたしたち兄弟にいつまでも幼いままでいてほしいと思っていた母の気持ちが、いまは少しわかる。