美人と金持ちの人格は軽視されがち 追記あり

美人は得だという人を見るたび、この人は身内に美人がいないのかなと思う。美人が得をするのではない。人心掌握に長けた人が美人扱いされ、周りを転がしていい思いをするのだ。小保方さんはそのすぐれたサンプルだったと思う。こういう女性は美人ではなく、美人意識が高い人だ。

でもそうやってちやほやされるようになった人は周囲からの「美人だね、きれいだね、かわいいね」という言葉を真に受ける。そして「”美人”として扱われるにはこうしたらいい」と自分なりのメソッドを持つようになる。また見ている周りも「”美人”は得だな」と思ったりする。でもその人がちやほやされるのは姿かたちが整っているからではない。卓越した人たらしの技術を持つモテ農夫だからだ。

 

親指姫の苦悩

化粧や服の選び方でごまかせないレベルで姿かたちが整っていて、人心掌握の術を知らない人がどんなに酷い目に遭うかはあまり知られていない。

アンデルセンの「親指姫」という童話には美人の苦悩がよく表れている。親指姫は眠っている間に「かわいい、お嫁さんにしたい」とカエルにさらわれ、その次はカブトムシにさらわれ、ネズミにかくまってもらったと思ったらモグラの嫁にされそうになり、最後は口も利いたことがない妖精の王子の妻になる。誰も親指姫の暮らしぶりや生活に興味がない。興味を持ったのは親指姫に看病された燕くらいだけれど、燕もまた親指姫は王子に献上するに値する美女だと考えてしまった。「両親の待つ家に帰りたくはないですか?」と聞いてはくれなかった。

親指姫には周囲を懐柔する知恵がない。蝶よ花よと育てられた幼い娘に知恵がないのは当たり前だ。しかしわたしは先日Twitterで「親指姫はねずみに感謝もせず王子の嫁にいってひどい」と書いている人を見た。苦労したすえの苦肉の策であっても玉の輿に乗った美人は叩かれるんだなと思った。

 

美人は白ライオン

先日モテ地獄について書いたが、モテ地獄の頂点に立つ者は自分の価値を上げると思うものを手中に入れようとする。美人は白ライオンのようなものなのでモテ地獄から離れて暮らそうとしてもモテの亡者たちから執拗に追いかけられる。

モテ地獄界では、上位に需要があるが下位に需要がない者、下位に需要があるが上位には需要のない者がいる。たとえばモテ地獄上位は容姿、若さに加えて華々しい経歴や家柄などもポイントとして数える。facebookで公開したら感心されるような要素がそれだ。しかしモテ地獄の下位である非モテ地獄ではそのような華々しさは自分の劣等感を刺激するものなので攻撃対象になる。

 

ところが筋金入りの美人はモテ地獄すべての階層から需要がある。白ライオンがハンティングに興味のない人の心も動かすのと同じだ。喪界からは憧れられ、幻惑された非モテ界から「もしかしたら」とあらぬ夢を抱かれ、迷い続けている否モテ界も「この気持ちこそ愛か」と確信され、モテ界からはどんな手を使ってでも自分のものにしようと決心される。モテ地獄においては上層から需要があることこそ救いなので、このように全方位から需要があることはこのうえなく恵まれた境遇にあると思われる。

でも全方位から狙われたいと美人が思っているかといえばそうではない。美人でもモテ地獄から解脱して涅槃にいて、ただの人間同士として伴侶を得たいと思っているものはいる。

モテ子の仮面とブス山さん - ハイク以上はてダ未満

やー。最後の行は逆だと思うよ。私の友達でむっちゃ美人でモテてた女性がいたけど、たった一人だけに骨の髄まで愛されたいのに、容姿がいいから男がほっとかなくて、好きな人にモテなきゃ意味がないって言ってた

2015/08/03 08:22

b.hatena.ne.jp

冬のソナタ」が流行った頃、会う人会う人みんなに「チェ・ジウにそっくり!」と言われた清楚な友人がいた。彼女がそんな感じだった。彼女はあまりいい結婚をしなかった。わたしは驚愕したけれど、よく考えたら「彼女ほどの人は王子様クラスの男性と結婚できるのに」と思っていたわたしも、彼女をただのひととして見ていなかった。

 

ブスはやめられるけど美人はやめられない

ハンサムスーツ、落ちを含めて本当にいい映画だったと思っていた。だからこの増田とブクマを見てちょっと驚いた。ネタバレ含むので未見の方は映画を観てから読んでね。

anond.hatelabo.jp

しかし同様の「なんだよ」はディズニーの「美女と野獣」を見たときに感じた。野獣の呪いは本当の愛を知ったときに解けるはずだったのに、選ばれたベルは結局美人だった。気の合う美人だったから守ったんだろ。HUNTER×HUNTERの王とコムギみたいな愛だったら納得するけどさ、結局美人と金持ちがしあわせになった話だろ?みたいな。

 

でもさ。美人は、やめられないんですよ。美人として見られることから離れられないんですよ。東村アキコの「主に泣いてます 」、あれはけっこう本当にそうだと思う。

ブスは化粧と服の選び方で美人風にはなれる。美人風で人心掌握に長けていたらいくらでも美人扱いしてもらえる。モテ農夫はこの層。今日はそれじゃ疲れるな、と思ったらいつでもブスに戻ってすっぴんジャージで誰にも振りかえられずにコンビニへ行ったりも出来る。

でも美人は何を着ても美人だし、どんな服を着ても女神が透けて見えるので何もしなくてもモテる。それこそブスーツでも着ないと、人が自分をすきなのか、”美人”に恋い焦がれているのかわからない。これはこれでキツい。

 

美人は風評被害を受ける

変身系美人とナチュラルボーン美人は違う階層でありながら表面的に「美人」として同じくくりにされている。変身系美人は常日頃モテ農夫として人の気を引くことばかりしているので、モテて困るという美人もきっと人の気を引いているんだろうと思われる。モテて困るって自分で蒔いた種だろ!自虐自慢いい加減にしろ!ってなる。

その苦労を分かち合える人がいない。変身系美人が「わかるー」とか言ってくるが、こいつはぜんぜんわかってないし、そもそもこいつらのせいで苦労しているんだけど、敵に回すとどんな酷い目に遭わされるかわからないので、適当にちやほやしておく。実際モテ農夫は気がきくし。なので美人の周りには変身系美人が衛星のようにぐるぐるしていることがある。もちろん変身系美人は「あの子、ちょっと不器用なんだよね」と美人を人として理解してあげているあたしアピールも忘れない。

 

美男美女の悲劇

だからハンサムスーツの落ちはわたしには腑に落ちた。昨日母と話していてあらためてそう思った。母が美人じゃなければ父は母を選ばなかっただろう。ここからまた親の話なのでおまえんちの親の話はもういいよ、と思う人はここで読むのをやめてほしい。

 

「10人が見て8人がいい女だと思うような女じゃだめだ。おまえの母親は10人が見て10人ともいい女だっていうだろ」と父は言った。父はモテ地獄最上階に住む男だった。

母のモテ話に何度か出てきた印象的な男性がいる。

「顔もそんなによくなかったし、背も低くてけしてかっこいい人じゃなかったんだけど、頭がよくて話がおもしろくて、やさしい人だった。

『フランスには焼き栗の屋台があるけれど、綿菓子はない。僕とフランスへ行って綿菓子の屋台をやろうよ』って言ってくれたの。すてきな人だった」

しかし母は綿菓子屋にならず、押しも押されぬ美男子の父と結婚した。母は面食いだった。顔立ちはいいのが当たり前で、そうでない人を恋人にする理由がないくらいに思っていた。父が美男子でなかったら母は幻惑されなかったかもしれない。

父と離婚したあとも、わたしが顔立ちのいい男性と親しくなると「あの人ははてこを嫌っている」と言い、顔立ちが残念な男性と親しくなると「娘は中身を見て人を選ぶんだって職場で自慢しちゃった。どんなにいい人でも脚が短くて顔が不細工だったら一緒に歩く気にならない」と上機嫌で言った。ぜんぜん懲りていない。この女と結婚しなかった綿菓子屋台希望男子はある意味運がよかった。

 

母の悲劇は「容姿は確かに美人だけど」と前置きして性格その他を批判されやすいということだ。美人はそれだけで期待値が高く、幻滅されたとき怨まれやすい。簡単にいうとやっかまれやすい。金持ちもそうだ。「金だけは持ってるけど」と前置きされて腐される。勝手に期待されて、勝手に追いかけられて、勝手に幻滅される。親指姫もそうだ。カブトムシは親指姫を勝手に誘拐しておきながら、仲間から「こいつには足が6本ない」と言われて親指姫に幻滅する。カブトムシはモテ地獄にいる。モテ地獄では仲間に評価されない伴侶は大失点なのだ。

 

いい思いをするのは美人・美男子扱いを狙う人心掌握に長けたモテ農夫であって、ナチュラルボーン美人や生粋の資産家は自分を人として見ないような人にいつも追われている。「その中からいい人を選べばいいじゃない」と外野は言う。外野は気楽だ。突然世間の脚光をあびたり、大金を手にしたりすれば、少しその苦労がわかると思う。

 

 

追記

美人と金持ちの人格は軽視されがち - はてこはときどき外に出る

"美人は白ライオンのようなものなのでモテ地獄から離れて暮らそうとしてもモテの亡者たちから執拗に追いかけられる"マッドマックスのワイブズ的な。この話も。→/美人に生まれたらhttp://anond.hatelabo.jp/20111027120538

2015/08/18 17:44

↑これのリンクはこれ↓

anond.hatelabo.jp

 ですよねー。

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