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初盆

祖父の初盆。

 

死んだ子の年を数えるというけれど、祖父がいま会えない人なんじゃなくもういない人だということを、こういう形で思い知るのが怖い。こうして納得してしまったら本当に死んでしまうような気がする。いやもう気がするじゃなくそうなんだけど。

去年のいまごろはそうじゃなかった。後悔することばかりだ。

祖父は

 

生きている人への恨みつらみばかり募る。明日は実家に顔を出さなければ。

初盆てなんだよ。歳を取ったら死ななきゃならないのか。健康でしっかりした頭を持っていて、身体が弱っているだけで、死ぬように追い込むことが当たり前みたいにされるのか。

いいことだってたくさんあっただろう。戦地で亡くなった戦友たちが体験しえなかったことがたくさんあっただろう。祖父の人生の最期が非情な家族に囲まれたものだったとしても、それで祖父の人生が台無しになるわけじゃないだろう。

でもだめだ。どうしてだろう。

物語も結末が悲惨だと、途中がすばらしいほど悲しい。

悲しくなくなったら祖父が死んでしまうんだろうか。思い出せなくなるんだろうか。

もう何十年も会っていない友達がどこかで暮らしていると考えるようには思っていられないんだろうか。

この歳になれば人並みに人を弔うこともあったけれど、祖父のことは関係者だったからか、どうにも悔いばかり残る。

非力なものだ。

こういう自分の非力さが怖くて幼いものや小さなものと暮らす決心が出来ない。