農夫モテと失恋ショコラティエ

ただいま漫画喫茶におります。いつまでたっても近所のGEOに失恋ショコラティエの最終巻が入らないので、漫画喫茶で読みました。たったいま読み終えたところ。今週のお題「読書の夏」にエントリーしました。

 

すこしまえに蜜の国の蜜さんによる漫画「モテキ」の解説を読んでいろいろ考えた。

かつて魔性の女だったという蜜さんは小宮山夏樹にえらい肩入れしており、夏樹の言動をこまかく解説していて面白かった。目から鱗。「火星の人類学者」の中で動物学者のテンプル・グランディンは「自分は火星から地球という星に来て人間の生態を研究している人類学者のような気持ちだ」と言っていた。彼女は自閉症で、わたしはその気持ちがよくわかった。蜜さんの夏樹解説を読んでまたそんな気持ちになった。でも今回は「モテキ」ではなく「失恋ショコラティエ」から魔性の女について思ったこを書きます。

 

失恋ショコラティエのモテ農夫サエコ

魔性の女、悪魔のような男は人を人ではなくキャベツか何かのように思っているのではないか、という話を続けて書いている。

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人を食い物にするというとあしべゆうほの「悪魔の花嫁」じみたビジュアルが浮かぶ。でも蜜さんによると、そういう魔性の女はモテキの桜子先輩のように「ぱわわ~っ」としていると言う。

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あれか。「失恋ショコラティエ」の小悪魔サエコさんみたいなやつか。去年ドラマで石原さとみがやったやつ。最終巻だけ近所のレンタル本屋になくて結末を知らなかったんだけど、いまここにあったので読んだ。そしたら前よりなんかいろいろよくわかった気がした。以下8巻までのネタばれ含むので自己責任でお読みください。

 

失恋ショコラティエ9巻までのあらすじ※ネタバレあり 

失恋ショコラティエ」は小動爽太(こゆるぎそうた。以下ソータで。)と、ソータが高校時代から夢中だった先輩の吉岡紗絵子(以下サエコで。)の恋愛模様を中心に描いた物語。サエコはぱわわ~っとしているけれど、常に学年トップのイケメンと付き合い続けており、女子の反感を買っている。

 

ソータはサエコに食べさせたいという一心でフランスへ渡り、ショコラティエとして凱旋帰国するがサエコはその直後に結婚。人妻になったサエコはその後もソータの気持ちを知りながらふわふわした笑顔で足しげく店へ通う。ソータを囲む人々はあきれ、読者はむっとするが、ソータは「えーかわいーじゃんやっぱ最高」とどんどん狂っていく。

 

サエコの真骨頂は夫婦喧嘩のあげくソータの店に転がり込み、そのまま休憩室に居候になった時期だと思う。店にはソータに片思いをしている薫子さんという年上の女性がいる。こじらせ系女子の薫子さんは店の二階で人妻と不倫関係にあるソータにもサエコにも怒り心頭。ところがサエコさんはぱわわ~っとした笑顔で「うふふ~」とかいいながら、いつの間にか薫子を懐柔し、モテ指南をはじめるのであった。

 

え?なんで?口も利きたくないところじゃない?この辺の流れは読んで納得していただきたい。わたしは「ああ、この雰囲気ならそうなってしまうかもな」と思った。この回のサエコさんのモテ指南に「キャベツはかわいがってだいじに育てなきゃ」感がよく出ていた。

 

サエコにとってキャベツは男性だけではない。薫子もまたサエコにはキャベツなのだと思う。薫子が狂っていくにつれて、つまりサエコへの好感が増すにつれて、この異常な状況を受け入れていく過程は興味深い。いじめ首謀者が自分にとても感じがいいと、相手を非難しづらくなるのもこういうことかと思う。

 

サエコはキャベツの反感が高まることは望まないが、基本的にどう思われているかは気にならない。だってキャベツだし。薫子がソータを想っていることにもおそらく気がついている。でもキャベツ同士が何を思っていようが「うふふ~かわいい」ってなもんで、気にならない。見下す理由もない。根っからの百姓としてどのキャベツにもいい状態でいてほしいと手間隙かける。

 

ソータはサエコがどうして自分を頼ってくれたのかわからない。期待していいのか。このまま部屋を借りて、離婚前提で行動してみようか。二人は店の二階で関係を持ち続けているが、ソータはその辺の話が怖くてできない。

 

サエコはその辺の気持ちにはもちろん気がついている。旦那に踏み込まれたら社会的な責任も問われる。最終的に一生残る傷をつける可能性だってある。馬鹿じゃないのでその辺はわかっている。でもキャベツに責任なんか感じない。いま美味しければいい。ずっとここに置いておいたら枯れるけど、しばらくは持つ。

 

書いてみるとたいがいひどいやつなんだけど、サエコさんずっとさびしそうなんだよね。うふふ~にこにこ~って描写が多くて、いつも明るいのにずっとさびしそう。おまえ不幸の種ふり巻いておいてなにしんみりしてんだよ!自業自得だろ!と思っていたんだけど、「相手をキャベツだと思っている人」として見ていたら、ちょっと考えが変わってきた。長くなったからまたあとでね。

 

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