疑うこともなく知り合う人々のうち二つのタイプ

仕事関係でこの辺のシマを仕切っている方とお会いすることになった。

事前にいい情報が入らなかったのでテンション低めなところを無理に笑顔で挨拶に行ったら、噂とぜんぜん違う人だった。なにこの人。大好きなんだけど!

すぐに連絡先を交換してお友だちになってください!とお願いした。なってくれそう。滅多にないけどときどきこういうことがある。ひとめで大好きになる人。大好きですぐに仲良くしたくなる人。こういう人とは本当にその後親しくやりとりすることが多い。

 

こういうのとちょっと違う「ひとめで大好き」がある。あれは何だろう。

ひとめで大好きになって、大好きだから嫌われたくなくて、大好きだと気付かれないように控え目に控え目に行動する。野生動物を遠くから見守るようにそっと様子をうかがう。ちらっと目にするとなんてかわいいんだろう!と感動する。まぶしすぎて胸が痛い。

話しかけられたら内心大いに舞い上がってわたわたするも、あくまで平静を装って「好感がもてる態度」以上の親しみがこもらないよう細心の注意を払って接する。先方が親しみを込めて近づいてこられると好きすぎて動揺する。仲良くなりたいけど、こんなに好きだと気付いたら驚かせて怖がらせてしまうんじゃないかと心配で、それ以上近づけない。

この種のだいすきは前者のだいすきとは全く違う。前者のだいすきに恥じらいや疚しさはない 。ただただ遊びたい一心だ。後者への気持ちは複雑で、いっそ透明人間になって先方から見えない状態でずっとそばにいたいと思ったりする。そしてそうなったところを想像して無性に寂しくなったりもする。

物心ついたころから、こういう、ひとめで大好きになってずっとすきで、すきだから何も出来なかった女の子がたくさんいる。

 

写真を撮らせてくれたり、お茶をご一緒してくれたりするのは、同性だから油断しているんだと思う。やったー!同性でよかったー!と小躍りしているわたしは女の皮を被って相手を欺いているようで冷や冷やする。

あれは、恋とは違うの?

「大丈夫なんだもんね、同性だから絶対にふられないんだもんね」

とか思ってるんだけど、そうなの?告白しないからふられないだけなんじゃないの?

いや、お付き合いしたいなんて大それたこと思わないけど。だってそんなの高望みすぎるっていうか。だいたいどう付き合っていいかわからない。いや、これってやっぱり恋じゃない?もしこれが恋じゃなく憧れだとしたら、わたしがこれまで恋していると思った男性への気持ちもかなりの部分憧れってことになるんじゃない?

 

同性愛者の人権を正当に認めるべきみたいな意見を目にするとき、自認する性嗜好が同性だという人と、異性だと思っている自分に実質どのくらい差があるのか、考えるとよくわからない。

これまで同性の恋人はいなかった。でも異性の恋人だっていない人はいるよね。

 

「大好きだけど同性だから夫にもやましくないんだもんね」

とか思ってるけど、そうなの?どうかしら。みんなは、どうなのかしら。

みんなもこういう気持ちは持っていて、でもなかったことにして、あるいは”本物の”同性愛はこれとはまったく違うものだと思っているのかしら。