大島弓子爆弾

大島弓子の漫画を読んでいたら、初めてその漫画を読んだころが蘇ってきて泣けてきた。

家族がバラバラになることも、祖父がこんなに老いることも知らなかった。

10歳だったと思う。

 

祖父に長く生きてほしいと考えないようにしていた。

穏やかに暮らして明るい気持ちで天命を全うしてくれたらと思っていた。

敬意を込めて扱われ、尊厳をもって息を引き取ってくれたらと思っていた。

でもなんだか急に涙が出てきた。おじいちゃまにずっと元気でいてほしい。

ずっと生きていてほしい。

わたしにとっておじいちゃまだけがわたしの本当の家族だ。

わたしが思う家族のメンバーの最後の生き残りだ。

いつ顔を出しても同じように迎えてくれる、いつも味方でいてくれる身内だ。

ビクビクせずに、黙っていても話していても同じように迎えてくれる人だ。

わたしにはもちおが、夫がいるけど、夫はいまのわたしの家族で

わたしの、もっと昔のわたしの家族はもう祖父しかいない。

いるけど、もうみんな違う人だ。

いつもいつも気を遣って言葉を選んで接しないとどうなるかわからない人たちだ。

 

おじいちゃまがずっと生きて元気でいてくれたらいいのに。

でもそんなの無理だ。無理なことは願わない方が効率がいい。

そう思っていたけど、大島弓子を読んでいたら、

そんな風に思っていなかったころに気持ちが戻った。

 

いっしょに暮らせたらいいのに。ご飯も作るし体も洗うのに。

父一家に対してわたしが絶対的な権力を持っていたらいいのに。

お見舞いにいっても「おまえが世話を焼くと祖父が甘える」と叱られる。

祖父を最高に世話した人は父一家でなければならないことになっている。

父一家以上のことをするのは父一家の顔に泥を塗ることだと思われている。

祖父からどんどん切り離される。ふがいない。自分が。

 

「頭さげるのなんかタダなんだから、それでうまく行くならいくらでも下げる」

という夫にならって、父一家にあれこれ贈り物を買っていく。

話しも聞く。たいていのことは逆らわずに言われたようにする。口ごたえしない。

こっちきて、その姿勢でかなり立場を有利にしてきたと思う。

だけどすごくつらい。

「家族」に対して政治的に立ち回らなければならないんだと痛感するとつらい。

泣くことも怒ることも出来ない。

「顔だけでも笑っていたら脳は騙される」

という人を見るとちゃんちゃらおかしい。

笑いの下の悲しみや苦しみを知らない人なんているのか。