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男女同権なら、童貞でだいじょうぶ 其の三 

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初めてのセックスとはどんなものでしょう。大正、昭和に生きた男女はどんな風に初夜を迎えたのでしょうか。
ちんちんは非常にシンプルで明解な作りですから、初めて見た女性でもどの辺から子種が出るかは予想がつきますし、目をつぶっていても玉と竿を間違うことはまずありません。でもまんまんは複雑怪奇な外観をしており、その反応もちんちんと比べると個人差が大きく、女性であってもどこを何に使うのかはよくわからないようなところがあります。猫の背をなでるようになでてあげれば上機嫌というちんちんと違って、ちょっと扱いが難しい。見たってよくわからないものを闇の中、独り手探りで苦痛を与えずに触るというのは大仕事です。
 
触る方も大変ですが、触られる方だって楽ではありません。「気持よくない」という程度ではすまないことだってあります。出張ホストを呼んだら童貞だった*1という話がありますが、プロの風俗業に身をおきながら態度の悪いこのホストのまんまん扱いはかなりいただけなかったようです。内田春菊の漫画に「クリトリスの位置がわからない男に会うと途方にくれる」というセリフがありましたが、男性はまずまんまんの構造を把握することから始めなければなりません。
 
一時の遊びならともかく、相手は生涯を共にすると誓った妻です。失敗は許されません。初回からなかなかいい思いが出来る童貞と違って、痛い目にあう処女は身も心もデリケート。ちょっとした失敗で子づくりなんか大嫌い、旦那さまも大嫌い、死んじゃいたいとなってはかわいそうですし、今後の暮らしにも差し支えます。第一「このひと、わたしと同じほどしか子づくりの仕方を知らないんだわ。任せておけない、どうしよう」なんて思われたら家長の威信と男の自信が揺らぎかねません。「もうそんなにたいへんだったらしなきゃいいじゃん、お互い自然にやりたくなるまで待ってみたら?」と現代っ子は思うかもしれませんが、子づくりをしないことには一族に未来はないのです。
 
そこで「嫁を持つ前にまず商売女のみなさんにご登場願って、手取り足取り教えていただいてはどうか」という考えが出てきたのではないか。つまり筆をおろしてよく筆をならし、きちんと役に立つようにしておきましょう、ということですね。ゲゲゲの女房を見ながらわたしはそんなことを考えました。良かれ悪しかれ、また向いているかどうかによらず、問答無用で男が率先しなければならない社会では、夫婦間のセックスは男が女に教えるものにならざるをえません。
 
このような経緯を考えると、男の「筆おろし」とは嫁をもらい、子どもをもうけ、稼業を継ぐ大事な段階です。周囲も関心をもちます。家を預かる嫁なしにはまともな仕事は出来ませんし、子づくりしないことには一族が絶えてしまします。筆おろしがすんだということは、次は本番。これまでの鍛錬を思い出し、自然体で緊張せずに実力を発揮せよということですね。
 
漠然と、「仲間に認められたい」「いつか彼女が出来たとき恥ずかしい」「セックスしてみたい」という理由ではなく、一家の長として世帯を構えるための大事な段階。筆おろしが主に性的な満足を味わうためのものではなかったとすれば、関係を持つ相手は縁ができては困る素人女性や、女を知る上で役に立たない男性や子どもでは意味がなかったことでしょう。