男女同権なら、童貞でだいじょうぶ 其の一

日本には童貞は早く何とかしないと、女の子は結婚するまで断固処女でよろしくという道徳観があります。

いっぽう西欧キリスト教文化圏でのあるべき姿は清き童貞処女の結婚。なぜ日本では童貞じゃだめなんだ、処女じゃなきゃだめなんだ、とわたしは常々疑問に思っていました。女性をモノとして扱っておるのじゃ、男尊女卑の表れじゃというご意見もございますが、ほかに合理的な理由はないのか。 
 
と、思いながらゲゲゲの女房をぼんやり見ていたのですが、「なるほど、これは童貞処女の結婚は難しいかもしれない」と思い、ある仮説を立てました。この仮説が正しければ、現代の日本社会においては、男性は何歳まで童貞であったとしても交際や結婚に差し支えると考える必要はなく、女性が処女でなかったとしても交際や結婚の場で心配する合理的な理由もありません。 
 
ゲゲゲの女房ゲゲゲの鬼太郎でおなじみの漫画家水木しげるさんの奥さま、武良布枝さんの自伝をふくらませて作られたドラマで、舞台は昭和の始め、戦前から戦後の日本です。この時代、お金を稼ぎ、一家に関わる最終的な責任を負うのは家長たる父親であり、旦那さまでした。女性がお金を稼ぐ方法はあまりなく、公の場での意見も重んじられませんでした。ではこの時代、男は女に家を守ってもらってやりたい放題いばり散らし、女性は忍の一時で苦しく暮らしていたかといえば、わたしはそうではないと思うのです。
 
広島出身のボクサー、竹原慎二さんのボコボコ悩み相談室にヒルズ族とかに腹が立つ。という相談がありました。

ヒルズ族とかに腹が立つ。文具メーカー勤務:Kさん(53歳)
 
私は勤続30年、仕事一筋で生きてきました。しかし、ヒルズ族と呼ばれている人たちをはじめ、最近の金持ちはラクをして私が到底手に入れることのできない大金を稼いでいます。 
私のように一生懸命働いてきたものが報われず、株などのギャンブルで簡単に稼ぐ者がいい思いをしているこの世の中に、腹が立っています。竹原さんもこんな世の中おかしいとおもいませんか?

これに対して竹原さんはこう答えました

使う側の人間、大金をつかむ側の人たちはリスクを負ってんの。冒険せにゃあかんのよ。 
俺もな、そんなに大袈裟なもんじゃねーけど商売やってるから分かる。店ひとつ出すんだって脳味噌から汗をダラダラ流して考えるさ。怖くて尻込みすんだよ。何千万〜何億円もの投資を何年で回収するかって。いや本当に回収できるのかどうかの保証もねーんだから。未来の事なんて誰にも分からない。イチかバチかだ。

わたしはよく「フアタリが出た」と言って暗い顔をしていた自営業者の父を思い出しました。不渡りというのは、仕事を発注してきた業者が、仕事を終えたあと支払いをせずに失踪してしまうことです。この場合仕事にかかった経費と従業員の給料は実質父が負担することになります。真っ先に給料不払いになるのも父です。業績不振の最中、パリっとしたスーツでさも景気がよさそうなふりをして銀行に資金繰りに行くのも父です。
 
働くというのはどこかへ出かけてある作業をして相応の賃金をもらうというだけの意味ではないのです。人と渡り合い、相手にお金を払ってもいいと思わせるだけの結果を出すこと、結果だけもらって逃げようとする人を捕まえること、場合によってはプライドを捨てて頭を下げたり、心を鬼にして争うことも必要です。残念ながらわたしは父のこういった苦労を知ることなく大人になりました。これは重いな、とわたしはそのとき初めて思いました。
 
武士は食わねど高楊枝。男は外で傷を負っていても、妻子の前では「だいじょうぶ、心配するな。怖がることはない。俺に任せていろ」というものでした。そしてふと、ゲゲゲの女房をみながら「このようなリーダーシップは大正昭和の日本においては、夫婦の寝室においても求められるものだったのではないか」と思ったのです。