アンドロイドの人権と神さまとセカンド・レイプ

※以下のエントリーは「今日からピアノを習うよ!」とうきうきしたはてこの手違いで消失したのち、みなさまのご好意によって復元可能となりました。深い感謝を込めて再掲載させていただきます。ありがとう!
 
先日ティム・バートン監督とジョニー・デップの“アリス・イン・ワンダーランド”を観に行きました。*1
アリスは樹の根元のうさぎ穴を覗き込んで真っ逆さま! 親族一同に圧力をかけられ、不愉快な従兄弟から結婚を迫られると言うたいへん現実的な場面から、あっという間に不思議の国へ。
 
この映画のアリスと原作のアリス・リデルは名前も年齢も違う別人なのですが、いちばん大きな違いは、映画のアリスがワンダーランドを自分の夢だと思っているところです。
夢だから怖がることはないわ。死も殺人も、夢の中なら恐れることはない。アリスは自分に何度もそう言い聞かせます。怖がってるんだけどね!
しかしジョニー・デップ演じるマッドハッターことキチガイ帽子屋は、それを聞いてショックを受けます。
「君が目覚めたら、僕はいなくなってしまうの?」さあ、みなさんはどう思いますか?
 
少し前に実在する非実在女性とのお付き合いについてお話しました。
二次元女性は日本人ではないので、日本の法律で保障されている基本的人権はない。では空想の世界の住人にはどんな権利があるのでしょう。またそれは誰によって保証されるのでしょう。
 
どう見てもロボットだろう、という女の子型メカを「ロボット三原則に縛られないように」とパソコンとして売り出した博士の物語があります。アンドロイドは見つけ次第速攻狩ることになっている世界で、これが殺人とどう違うのか悩む男の話もあります。SFの国でのアンドロイドの人権はまちまちです。そもそも彼らは人間ではないので人間の持つ権利がありません。
 
しかし先日お話した話のように、有機アンドロイド、つまり生身の体を持つ人造人間や、人間とまったく変わらない体を持つクローンの場合、話は複雑です。いったい彼らと人間をどこで区別するのか? 生殖によって生まれたのではないから? では試験管ベビーは? 将来このようなことを今より真剣に議論しなければならない日が、きっと来るでしょうね。
 
アリスが夢だと思っているワンダーランドには、アリスの現実世界の知り合いは一人も登場しませんでした。もしも登場していたら、そしてその人がアリスの敵だったら、アリスはその人をどの国の法で裁いたでしょうか。
夢の中なら死も殺人も恐れることはないわ。そんな風に割り切るのは恐らく難しかったでしょう。
  
強姦と殺人を思い描いて性的な興奮を得ることに悩む男性のことを書きました。なぜ悩んでいたのでしょう。それは彼の良心が、殺人と強姦を否定していたからです。その良心が彼らと共に証しをし、自らの考えの間で、あるいはとがめられ、釈明されさえしているのです。
空想の世界で犯罪を犯すとき、それを裁くのは空想を作り出した当人であり、根拠となるのはその人の良心です。そして人の良心を裁く権利を持つのは神だけだと私は思います。
  
夢はなかなか思い通りにいきません。
「私は頭がおかしくなっているのかしら?」と映画のアリスは父親に聞きます。
「そのようだね。しかし頭のいい人は誰でもすこし頭がおかしいんだ」。
 
空想も夢と似たところがあります。シロクマのことだけは考えるな!という本があります。環境問題の本かと思ったら、人の心の動きについて書いた本でした。さて、いまこの箇所を読んで、シロクマを思い浮かべなかった方はどのくらいいらっしゃいますか。
心の動きは複雑です。それはさまざまな刺激によって変わっていかざるをえないものなのです。 
 
内心の自由は保証されているという人がいます。私はそうは思いません。ただ人の心を他人が裁くことは出来ないと思っているのです。
「心のドアは内側にしか把手がない」という言葉がありますが、私はドアをノックしたいと思っています。
 
アンドロイドの意識を乗っ取り、アンドロイドの体で強姦されることを楽しむように、空想の中で、強姦という極度の忌まわしい経験をした実在する誰かになりきって、自分本意の妄想を楽しむ人がいます。
その人は自分の性的な妄想を盛り上げるために犯罪記録を読みたがるかもしれません。
妄想の中なら強姦も他者の尊厳も気にすることないわ。
 
私がそのような人に伝えたいことが、口に出すなということだけだとお思いですか。
 
  

*1:3D、超疲れる。3D部分はディズニーのお城とスタッフロールだけでよかった。