待望久しい男子向け家事雑誌が発売されて三年

「はぁ〜…」
「介さん、元気ねえな。週末は何してたんだよ」
「ああ、角さん。部屋片付けようと思ったんですけどね、全然はかどらなくて」
「そうか。家事をまとめてやろうとすると土日潰れるよな」
「そうなんでよ。一人暮らしになったらやりたい放題だと思ってたんですけどね。角さんは何してたんですか?」
「俺? 医療費控除出そうと思って確定申告してたよ」
「え、角さんて去年大きな病気しましたっけ? それとも何か副業してるとか?」
「いや、医療費控除は年間の医療費が10万円に満たなくても、収入に対する割合で還付金が出ることがあるんだよ。それに年間所得から住民税が見直されたりするから、ここ数年毎年出すんだ。出すだけで毎年数千円戻ってくるしな」
「へえ、すごいな。ところで角さんて結婚してましたっけ?」
「え、何言い出すんだよ、彼女もいないの知ってるだろ」
「じゃあその弁当…」
「ああ、これは自分で作ってる。食費の節約で始めたけど、ダイエットにもなったし結構楽しいぞ」
「そういう弁当って何て言うんでしたっけ、ええっと…キャラ弁?」
「そうそう。よく知ってるな」
「ああ、実は俺もそのキャラ…いえ、スゴイっすね。朝何時起きですか?」
「いや、副菜はまとめて作るから朝は詰めるだけで簡単だよ。海苔は100均の型抜きっで切って載せるだけだし。これで昼食代が浮いたから先月はズボンプレッサーを買ったよ」
「ええ?!そんなに」
「うん、俺の場合、昼食に週に2000円前後は使ってたからな。二ヶ月弁当作ったら結構いいのが買えたよ」
「角さんすげえなあ。大人って感じっすね。俺なんか家賃と光熱費と食費で学生のときより金ないっすよ」
「家計簿はつけてる?」
「いやー、ちょっとやってみたんですけどね、無理無理。レシート見ても何を買ったか思い出せないし、計算しても財布の中身と合わないしイライラするだけでしたよ」
「ああ、俺も最初は1円単位でつけようとして挫折したよ。今は袋分け家計簿が自分に合ってるってわかって、それで続けてる」
「俺より遅くまで仕事して、いつそんなことやってるんすか。角さんすげえ豆っすね」
「いや、俺も一人暮らし始めたばかりの頃は右も左もわからなくて、毎日コンビニ弁当食って、万年床でゴミに埋れてたよ」
「じゃあいつからそんな風に…こう、なんていうか…家庭的になったって言ったら変ですけど、家のことに詳しくなったんですか?」
「うーん…“男所帯”って雑誌があってさ、それ読み出してからかな」
「“男所帯”? ああ、よくコンビニにある福山雅治が表紙の雑誌ですよね」
「そうそう。アレに掃除とか洗濯とか料理とか金銭管理とか色々出てるんだよね。確定申告の出し方は毎年二月ごろに出るからそれ見て出さなきゃなって思ったわけ」
「え、あれそんな雑誌だったんすか」
「うん、結構役に立つぜ。ワイシャツのアイロンのかけ方とか靴の磨き方とかもあれで学んだし、年末の大掃除特集にはバイクと車の洗い方もかなり詳しく出るしな。去年はロードバイクのメンテナンスが出てて、役に立った。料理もウマイの結構あるよ。毎号家飲みのツマミの作り方が出てるし」
「でも一人暮らしだと料理するより買った方が安いんじゃないですか」
「俺もそう思ってたんだけどな、家計管理の特集が年に何度かあるんだけど、やっぱ作った方が安いわ。去年節約大賞取ったSEとトラック運転手の家計簿見て痛感した。人の部屋とか家計簿見とか見ると、自分の生活振り返るようになるよ。それで先月医療保険がん保険にも入った」
「へえ。保険とか種類ありすぎて何に入ったらいいかわかんないすよ」
「だよな。前立腺がんとか男性特有の病気のコラム読んで、なんか入らないと思ったんだよ。それで保険の比較特集が前に別冊でついてたの思い出して、それ読んで入ったよ。読むなら貸すよ」
「ほんとすか、読んでみます。そうかあ、“男所帯”って家のこと書いた雑誌だったんすね。アウター最前線とかワイシャツランキングとか書いてるからファッション誌かと思ってましたよ」
「ワイシャツランキングな! すげえぞ、あれ。形状記憶シャツを洗濯100回比較とか、吸水性を重さとべたつき感と透け具合でランク付けするとか情け容赦ない」
「ファッション性とかデザインの話だけじゃないんすね」
「俺の場合ワイシャツなんて作業着だからな。実用性メインの記事が多くて、そこがいいんだよ。無難なコーディネート例も出てるから助かる。最低限の身だしなみとか考えるようになったのも“男所帯”読み出してからだな」
「そういえばこの間弥七さんと鼻毛カッターについて熱く語ってましたよね? あれももしかして“男所帯”すか」
「うん。“スタパ齋藤の白くない白物家電”ていう家電コラムの連載があって、あれ見るとなんかすごく欲しくなるんだよな。まあズボンプレッサーもそれで買ったんだけどね」
「マジすか、俺、スタパ齋藤のファンなんですよ。よし、帰りに買おう、“男所帯”」
「そうか。今週号は“汚部屋成敗!!”だからちょうどいいかもな」

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と、いうような雑誌があればいいのにな、とはてこは思うのです。
本より雑誌。自分と境遇の似た男性がどんな風に家事をしているかを見るのはきっと勉強になるし、励みにもなります。
誌名は違ってもかまいません。 はてこは家事男子を熱烈に応援しています。
 
男が家事をするようになると結婚する人が減り、離婚する人が増えると思う方もいらっしゃるかもしれませんが、はてこは低収入でもイケメンでなくても家事得意な男子は大いに需要があると思うので、むしろ結婚する人は増えて離婚する人も減ると思いますよ。
誰と暮らすにしても家事能力があがると生きるのが楽しくなるものだしね。
 
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